初めまして、さやです
初めまして、企画本屋honten店主のもうひとり、さやです。
普段はしょうさんが活動報告を書いてくれていますが、せっかくのクラウドファンディングということで、今日は私が書いてみようと思います。
「活動報告を書く」と聞いて、正直何を書いたらいいのか分からない・・・そんな私に、しょうさんは
「おすすめの本のことを書いても良いよ」
と言ってくれました。
本のことなら!と思い、考えてみたのですが・・・。
本好きな人ならお分かりのはず、おすすめの1冊が選べないのです。
小さなときから憧れていた「本の世界」
私の家の本棚(一部)
そもそも私は幼い頃から、「本」というものに憧れていました。
親戚から貰った本たちが棚に並ぶ様子に心をときめかせたり、分厚い英和辞典をもらってなんだかうきうきわくわくしていたり・・・、親戚に不思議な目で見られる小学生でした。(その英和辞典はろくに開かれることもなく実家に眠っています・・・。)
文字や言葉といったものが、その頃から好きだったんだと思います。
そんな私が特に意識的に読書をしたのは、通学時間が最大限に使える大学生の頃でした。
私が本を語るときに欠かせない3人
有川ひろさんの『図書館内乱』。何度も読んだ証拠に、角がすり切れていることが分かります。
まず手を伸ばしたのは、高校生の頃からずっと読みたかった有川ひろさんの作品。
言わずとしれた『図書館戦争』シリーズから『塩の街』にはじまる自衛隊3部作など、あの読みやすい文章と思わず考えさせられる社会的なテーマ性、そして少女マンガを読んでいるときのようなときめきに、ぐっと胸をつかまれました。
私もこんな恋愛がしたい!こんな風に生きたい! そう思わずにはいられない彼らの物語は、今読んでも色あせません。
そしてその後、ガツンと頭を殴られたような衝撃を受けたのが、辻村深月さんの作品。
本当に、文字通り頭の中でガツン、と鈍い音がするかのような物語の種明かし。
確か『凍りのくじら』から始まり、『冷たい校舎の時は止まる』でヒヤヒヤしながら読み進め、『スロウハイツの神様』ではスロウハイツに住む彼らがただただ愛しくなるという有様。
辻村さんの作品はその頃既に沢山世に出ていて、それを追いかけるのが楽しくてしょうがなかった記憶があります。
最近また読み返した『凍りのくじら』。SF、「スコシ・フシギ」な物語。
ここまで来ればもう、物語の世界からは逃れられません。
読書の楽しみを改めて知ってしまった私は、様々な作家を追い、気の向くままに本を読みました。
森見登美彦さん、飛鳥井千砂さん、朝井リョウさん、恩田陸さん、山田詠美さん・・・他。
そして、社会人になってから出会った島本理生さんの作品。
映画化をきっかけに『ナラタージュ』を読み、文体が好みだ、と思って数ヶ月後『よだかの片想い』を読んだ私は、一気に島本さんの世界にのめり込みました。
登場する女性はいつも「家族」や「家庭」に苦しさを抱えていて、それを支えようとする男性にもどこか危うさがある。
もちろん全てがそうではないですが、そんな繊細な彼・彼女らを描く島本さんの文章はただ美しく、切なく、私の大切な思い出まで刺激するくらいのものでした。
うまくいく恋愛ばかりじゃない。想いあっているのに離れることもある。切なくて、でも主人公たちは最後、少し強くなっている。そこに光を感じます。
こうして、気がつけば自分たちで選書し、本と人との出会いを作るというプロジェクトにまで至っていました。
hontenにはもちろん、ここで話題にした作家さんの本もご用意しています。
誰かの光になりますように
明け香る君に祥あれ。
私はこのテーマを、「光や風を感じて前を向こうとするあなたに、幸あれ」と解釈しています。
ここでいう光や風とは、ただ物質的なものを指すだけではありません。ひとつぶの勇気が誰かの光になる、そういうことも含みます。
私たち店主にとっても、あなたにとっても、hontenが明るい風を吹きこめますように。