こんばんは、fireflakeのはちまるです。今日はPico W拡張基板を使って、農業や家族見守りに使える空気環境測定+アラートシステムを作ってみます。最終的には下の画像のものが出来上がります。が、その前になんでそういうものを作ってみるのかという自分語りを・・・。
自分は割と長いあいだ、一次産業+IoTに携わってきた人です。具体で言うと、農業と畜産にIoT方面から10年弱携わっています。で、そういう現場に出入りしてみると、色んな苦労を感じる事が多いんですね。特に人手が少ないなかで多くのモノ(作物や畜類といった育てているものだけでなく、色んな設備とか)を管理しなくちゃいけなくて大変ってのは中々深刻です。なので、そういうところこそIoTとかITが上手く入り込んで、人手が少なくとも現場が回るように、何か役に立つと良いんじゃないかな、と思ったりしています。
家族見守り(特に遠くに離れて住んでいる老齢の親への介護など)なんかもずいぶん大変だと知り合いから聞いた事があります(その知り合いは埼玉在住で、親御さんは奈良在住との事でした)。なので、例えばそういうところ向けに、安価で使いやすいカタチでIoTアイテムがあったら良いよね、というイメージを持って今回の空気環境測定+アラートシステムを組んでみました。そんなお話。ではでは作っていきますね。
まず、農業なんかの産業現場や、私たちが日々暮らす生活空間は、水とか土埃とか色々基板に悪さしそうなものがあります。なのでそういうものから基板を守るために、防塵防水ケースを準備します。また、ケースにPico Wと拡張基板を入れてもディスプレイが見えるように、蓋は透明なものにしました。
ただ、これはまさに防水防塵で穴とかが無く、がっちり中身を守るケースなので、このなかにPico Wと拡張基板を入れて蓋をすると、穴が無いから空気が入ってきません笑 それだと空気環境測定が出来なくて困るので、空気抜け穴をケースにあけて、そこにルーバーを付けます。ルーバーにはフィルタが入っているので埃を防いで空気は通すし、羽板を下に向ければ雨などの水滴の侵入もある程度は防いでくれます。
電源も、産業現場や生活空間で使いやすいように、ACアダプタから直にPico W拡張基板に入れるのではなく、防塵防水ケースにACアダプタをさすだけでOKにします。そのためにケースに付けられるタイプのDCジャックを用意しました。
これらを組むとこうなります。
ここにPico Wと拡張基板を入れて蓋をすると・・・出来上がり!ちょっとルーバーの位置が微妙ですがご愛嬌という事で・・・。
早速動かしてみます。ディスプレイに色々表示されましたね。小さくて見えづらい(というかほぼ見えない)ですが、温度、湿度、CO2、気圧がリアルタイムで表示されています。
この状態だと、床や机の上に置くことは出来ますが、壁面などに設置しづらいので、ケースの上に引っ掛け用のアイボルトも付けてみます。
この引っ掛けにビニール紐を仮で付けて、ドアノブにかけて設置してみるとこんな感じになりました。
これでも良いんですが、見た目的に、基板の剥き出し感が強くて家庭の生活風景には溶け込めないかもしれません。なので紙に猫の絵を描いて貼ってみます。(ほんとの産業現場、生活現場で何かを貼る場合は、水に濡れても大丈夫なものを貼ってください。)
ペタッとな。猫のパワーで生活現場への溶け込みも完璧(?)ですね。
さて、これだけだと「測定した空気環境データを、リアルタイムでディスプレイに表示する」という動作しかしません。それだと産業や生活の現場で使うシステムとしては不足感があるので、プログラムを変えて「1分おきに、空気環境データをGoogleスプレッドシートにアップロードする」+「空気環境データに問題があったら、LINEにお知らせが飛ぶようにする」という仕組みを入れました。その動作をさせた結果がこちらです。(Googleスプレッドシートの方は実データですが、LINEの方は仮のデータでテスト送信をしたものです。)
この2つの仕組みを入れた事で、実際の農業現場や家族見守りの現場で動かしたときに、以下のような働きが出来るようになりました。
【農業(想定しているのはビニールハウスの農場)】
1.水気や土埃が多い環境でも、基板がダメージを受けづらいので安定稼働させられる。
2.植物が生育している空気環境を、遠隔でPCやスマホから確認できる。
3.植物が生育している空気環境を、リアルタイムでディスプレイから確認できる。
4.温度が高すぎる/低すぎる場合などに、スマホにアラートが飛ぶのですぐに気付ける。
5.Wi-Fiと電源さえあればどこでも動くので、設置時の配線が簡単。
(植物はWi-Fiの電波を吸収するので、植物群落のど真ん中に設置すると上手くWeb連携が出来ないかもしれません。)
【家族見守り】
1.少量の水などをケースにかぶせても、基板がダメージを受けづらいので安定稼働させられる。
2.家族が過ごしている空気環境を、遠隔でPCやスマホから確認できる。
3.CO2の変動などから、家族の生活状況を推測できる。
4.温度やCO2が高すぎる場合などに、スマホにアラートが飛ぶのですぐに気付ける。
5.CO2が高すぎる、気圧が低い、など体調に影響しそうな空気環境の変化を把握できる。
6.Wi-Fiと電源さえあればどこでも動くので、設置時の配線が簡単。
どちらの場合でも、IoT系のサービスとしての月額費用は発生しないので、お財布に優しいというメリットもあります(その分自分自身でメンテをする必要はありますが)。
今回は農業と家族見守りを事例に出しましたが、このまま使ったり、あるいはちょっと工夫を入れたりして、他の分野で使う事も出来ると思います。例えば、
・飲食店の厨房や、体育館の中が熱中症になるレベルの環境になってないかを測定し、必要に応じてアラートをあげる。
・(モバイルバッテリーからの電源供給と、スマホのテザリングを用いて)電源もWi-Fiもないような工事現場や田畑での作業時の体調管理や、長距離運転時の体調管理に使う。
といった使い方ですね。では今回の話はここまでで。最後に恒例のX/Twitterのリンクを貼っておきます。良かったらフォローお願いします。