「POWER3〜THE MINI〜」
制作年:2014年
素材:石粉粘土、木製パネル、アクリル絵具
サイズ:H90 W180
大学3年次の学祭で発表した作品。
僕は、小さい頃によく新宿に映画を観に行っていました。
この作品は、新宿の風景や、そこにあった手描きの映画看板からインスパイアされて制作しました。
今も新宿に行くだけでワクワクします。
それは、新宿に行くと映画を観る。という記憶が密接にリンクしているからだと思っています。
そういった思い出を作品で表現したいなと思ったのです。
手描きの映画看板
手描きの映画看板は、同世代の人は見たことが無い。という人がほとんどなのですが、僕は小学校の低学年くらいまで、映画の看板は写真ではなく、手描きだったことを記憶しています。
手描きの映画看板
手描きの映画看板の良いところは、凄く上手いのだけど「何か違う…」「ちょっと似てない」「写真みたいな精度では無い」というところ。
作者の個性が現れ、1つの絵画作品として成立しているような気がしていて、手描きの映画看板を見ることは、僕の新宿に行く楽しみの1つでした。
そんな映画看板を自分の作品に、取り入れたいと考えました。
そこで取り入れた要素が「手描きならではの良さ」
ちょっと似ていなくて、写真みたいな精度ではないけど、なんか良い。というあの思い出の映画看板を自分なりに再現しようと試みました。
今までは「良く描く」「上手に描く」というところに重点を置いていたのですが、この作品では「一発描きで、見たまんま描く」ということを大切にしました。
自分から出た矯正されていない「生の線」を活かそうと思ったわけです。
そうすると、描きなれた線ではなく、自分も想像出来ない、不恰好な作品が出来ます。
そこが面白いなぁと思い、彫刻にも取り入れよう!となり、彫刻も同じように作りました。
「ゴリラ」という作品以外は、彫刻を作ってから、絵を描いています。
普段は下絵を描いた後に立体に起こすのですが、彫刻が先で絵が後という、逆のことをしてみました。
形も、自分の中の最小限の細かさ。
一気に仕上げるということにおいて、集中力が持続出来る大きさです。
ゴリラ
ゴリラ
ビビットな配色を本格的にはじめたのはこの作品が最初です。
なぜこの色かというと、この作品は新宿の思い出だからです。なので、新宿のネオンやお店の看板などから着想を得ています。
特に、当時よく行っていた家電量販店「さくらや」の影響を受けています。
さくらや 新宿東口駅前店
さくらや ホビー館
タイトルの「POWER3〜THE MINI〜」は、
母親と姉に、出来た作品を見せ、タイトル考えて!と伝えたところ、2人から公募して出た「パワー」と「ザ・ミニ」に、「傑作では無いけど、良作」という意味を込めて「3」を僕が付けました。
ダイハード3
ロボコップ3
この作品は、TURNERAWARD2014 に入選しました。
郵送する資料に、立体部門は、「高さ」と「横幅」にあわせ、「奥行」も記入しなくてはいけなかったのですが、この作品では記入しませんでした。
なんとなく、僕の中で風景画を描いているような感覚だったので、結果的に通って良かったです笑
TURNERAWARD2014 のホームページ
これから本格的に僕の映画彫刻シリーズが始まります。