存続危機の石版リトグラフを、工房最後の刷り職人×デザインのチカラで盛り上げたい
「磨く」ことから始まる石版リトグラフ
皆様こんにちは!
今日は石版リトグラフの製作工程について、少しだけご紹介します。文字通り、石を「製版」することから始まる石版リトグラフ。さらにその最初のステップとなるのが、石を「磨く」作業です。
これがとにかく重労働。一番小さなサイズでも10kg、大きいものになると70kgほどにもなる石を、研磨用の金盤(こちらも重い)と、「金剛砂」と呼ばれる磨き粉、それから水を使って磨いていきます。
くるくると重しを踊らせて石版を磨く永野さん。手さばきと同じく説明もなめらかです。
そしてさらに「目立て」と呼ばれる、表面をくもりガラスのように、均等にざらつかせる作業を行います。この作業により、リトクレヨンで繊細に描画するのに適した表面になるのです。
こうして研磨作業が終わった石は、ホレボレするほどのなめらかさに!

マットな表面が水を含み、日差しを映しています。手の皮脂がつくと製版時に汚れが出るため、この作業以降は表面を触れてはいけません。
本当に大変な作業なのですが、一見簡単そうに見えるのはもちろん、長野さんがやっているからです。車木工房最後の職人である長野さんは、入房も最も遅く、工房内では常に下っ端、というポジション。それゆえ一番の重労働である研磨作業は、いつも長野さんの担当でした。だからこそ、長野さんの磨く石版は本当に美しく、しかも作業が早いのです。
ただ、動画では一番小さなサイズの石版を一枚だけ磨いていますが、多色刷りを行う場合はもちろん、使う色数の分だけ石版が必要になります。また作品作りの過程では、もっと大きな石版を使う可能性も出てきます。さらに現在、長野さんは腰に持病をお持ちだそうで、そこの負担も考えなくてはなりません。
私たちの現在のプロジェクトでは、できるだけこれらの負担を軽くするよう、まずは小さな石版を使った、あまり版数の多くないプロダクトの制作を中心に考えていますが、それでも長野さんの人力だけで研磨作業を行うのでは、いずれ限界が見えてくると思います。
今、考えられる手段のひとつに、工房奥に眠っている「石材研磨機」を活用する、というものがあります。この石版研磨機は、大きな石を「荒研ぎ」するためのもの。その後、動画のような人力による研磨作業と目立ては必要になりますが、一番力のいる作業を機械に任せられるのは、大きな負担軽減となりそうです。

スペースが狭く、全貌は写せませんでしたが、これが研磨機。墓石などを磨く際にも使われているようです。
しかしながらこの石版研磨機、動くことは動くのですが、少々動きがおぼつかなく、恒常的に使うにはメンテナンスが必要です。また動画に出てきた金盤の他、石版の表面が平らになっているかどうかを測るための道具など、人力研磨用の道具も錆びたり、欠けたりしているものもあります。さらに、細かくも切実な話なのですが、石版を研磨するための磨き粉「金剛砂」が、もう残り少なくなってきています...。
このような「道具面での費用」および、もし長野さん一人で研磨作業を賄えなくなった場合の「外注作業費」などが、私たちのプロジェクトには必要不可欠です。プロジェクトページ「皆様からのご支援の使いみち」に掲載している「石版研磨費」の項目は、こういった費用になります。
石版リトグラフが印刷技術の主流だった昭和初期。ちょうど今くらいのシーズンから、印刷会社は年末年始に向けて忙しくなりました。ところが冬場はかけた水が凍ってしまい、事前に炭火などで石版を暖めなければならない作業も追加され...。石版磨きは、職人泣かせの作業だったようです。
石版リトグラフ再活性化に向けて、まさに出発点ととなる、大変だけど大事な石版磨き。ここがプロジェクトの根幹と言ってよいかもしれません。皆さま、どうぞ応援をよろしくお願いいたします!
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