存続危機の石版リトグラフを、工房最後の刷り職人×デザインのチカラで盛り上げたい

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プレス機の修理に挑戦(ベッド編)

ベッドの表面に敷かれていたアルミ板。20年ぶり!のメンテナンスで入れ替えますが、よごれにアジを感じたり。
みなさん、こんにちは!Re:lithoです。今日は、プレス機の修理について先日のスキージ編に続き、石版を乗せる台、縁の下の力持ち的な存在であるベッドの修理の様子をお伝えします!
スキージ編もそうなのですが、じつはこういった修理の様子を公開するのは工房としては初めてだそうで、というのもプレス機の修理やメンテナンスはいわば裏方作業。いままで外部の方はもちろん、一緒に作品づくりをする作家さんにも見せたことがないそうです。修理の様子をつぶさに撮影していたら、職人の長野さんと、兄弟子にあたる吉村さんとも「こんなん、あんま見せるもんちゃうんですけどね。」とちょっと照れくさそうにされてました。 プレス機を取り扱うメーカーも、刷り職人も減っているので当然といえば当然なのですが、このようなメンテンスをできる人は、今では貴重な存在に。なので、こうやって記録として残すこと自体もリトグラフの存続にもつながる!と信じて、しっかりレポートさせていただきます!多少(かなり?)マニアックですが!
写真は古いアルミ板をはがしたベッド。その下にはボール紙が層状に。
さて本題の、石版用プレス機のベッドについてなのですが、これ、硬すぎても柔らかすぎてもよくないんだそう。硬すぎるとプレスする際に石版が破損しやすくなり、柔らかすぎると描画がきれいに出にくくなります。その調整のため、工房ではアルミ板の下に、特別仕様のボール紙シートを6枚敷いてます。この枚数も重要。長年の経験が「6枚」を決めたんですね、きっと。 本当はこのボール紙も一緒に交換したいところなのですが、同じような硬さのものが探せておらず(入手を担当されていた人がいなくなり、今となっては誰もルートがわからない状況)今回は表面のアルミ板のみの交換となりました。残念。 アルミ板は周囲をぐるりと釘で留められており、はずすのも一苦労。。。ですが、ベッドのコンディションを整えれば、刷りも美しくなり、作業効率も格段にアップ!するので、ここはひと頑張り!です。
現状のボール紙。かなり使い込まれているため、ぺちゃんこです。ゆくゆくはこれも取り替えたい!
古いアルミ板をはずしたら、新しいアルミ板を用意します。これは画材屋さんで購入。ただし、このご時世、ベッド専用のものなどあるわけなく。。。他のタイプの版画手法で「版」として使うものを、工房のプレス機に転用しています。こういう柔軟さ、現場や市場にあるものでどうにかしてしまうライブ感も、職人さんの持ち味だなあ、と思うことがしばしば。 ただ、このアルミ板を取り扱う業者さんすら、今後なくなっていくのではと囁かれています。リトグラフ関連の技術、機材、画材が本当に世の中からなくなりつつあるんだなと、あらためて痛感しました。
アルミ板をベッドのサイズに合わせてカッターで切ります。この時、折罫も一緒につけます。
ベッドの厚み分のマチと、釘で留める部分をつくるため、慎重に折ります。
折り構造はこんな感じ。これを両サイド同じようにします。釘を打つ部分は補強のため2重に。
新しいアルミ板が用意できたので、次は張り替え作業にとりかかります。プレス機から取り外したベッドにアルミ板を載せて。。。ピッタリと張り込む必要があるので、長野さんと吉村さん2人がかりで行うことに。
新しいアルミ板をはる瞬間。ボロボロだったプレス機が、ほんとに20年ぶりにリペアされるだなぁとしみじみ。
そっち持っといてー。はいええよー。アルミ板を押さえる吉村さんと釘を打つ長野さん。いきぴったり。
ベッドをプレス機に再びセットして微調整。
これにて交換は完了。個人的にはやはりボール紙の交換ができなかったのが心残りなのですが、ひとまず今できることはここまで! 「皆様からのご支援の使いみち」に掲載している「印刷機修理費」の項目は、こういったパーツの新規購入や、場合によっては修理を外注に出す際の費用になります。皆様のご支援、よろしくお願いします! インスタグラムやってます↓
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