試作品は、今日もあちこちの海へ。写真は南房総。
このプロジェクトも残すところ2週間ほど。詳細情報の提供も後手後手で遅れて、ここまで来てしまいました。この間、SNSやら直接お会いしてなど、あちらこちらでさまざまな情報を提供してまいりましたが、それが肝心のkibidangoに反映されていなかった!・・・・なので、ここらでまとめ直します。
まずは、海旅トートの、そもそものこだわり。素材と外観的なところから。
■なぜ「防水」にしたのか
そもそもは海辺で遊んだり活動する人のために、と生まれたのが「海旅トート」です。ならば水際や砂浜に、気軽にバッグを置きたい。砂地がしめっていても、あるいは水がかかっても大丈夫にしたい。雨が降ってきてもあわてずにいられる。砂がついても落としやすく、汚れにも強い・・・・こうした使い勝手を考えると、防水であることは、最初の一歩なのです。
■なぜ「天然素材」にこだわるのか
世界中で、プラスチックゴミやマイクロプラスチックから「海を守ろう」と叫ばれています。我々海をホームとするメンバーが「天然素材のバッグ」に惹かれるのは当然の流れでした。ところがまず自分たちのために「天然素材で防水」のバッグを探してみても、見当たらない。ん? もしかして世の中にない?? だったら作ってしまおう! これがプロジェクト開始の原動力でした。
メインの皮革や帆布が天然素材なのはもちろん、普段見えない底板や芯材にも天然皮革を使用しています(通常はプラスチック系素材)。見えるところも見えないところも「プラスチックフリー」です。
■どんな「防水革」なのか
『海旅トート』で採用した革(白い部分)は、「牛革+クロームなめし+顔料仕上げ+フッ素加工」によるもの。防水性と耐久性を兼ね備えた、国産の特殊品です。
3日間水に漬けていても、革の内部に水が浸透しないという高い防水性能を誇ります。
■なぜ「一枚革」なのか
通常のバッグの縫製では「縫い目」が底面にきます。どんな防水革を使っても縫い目から水がしみこみかねません。そこで『海旅トート』では、「1枚革をボックス形に加工」することで、この問題を回避。底面には縫い目がいっさいありません。革はより多く使用することになりますが、バッグとして、高い防水性能を手に入れました。 ※一枚革:底部分 (持ち手やキャリーハンドル用スリープは、切り分けパーツ)
■どんな「防水帆布」なのか
『海旅トート』本体に使用しているカーキ色(OD色)の帆布は、綿10号の菊水防水帆布という素材。特殊なパラフィン樹脂を含浸させた帆布です。微粒子が綿の網目の中に入り込んで高い防水性を発揮するもので、その性能の高さが評価され自衛隊のトラックなどにも使われています。言ってみれば、ミリタリースペックなわけです(トラックの幌は9号ですが)。
使い込んで表面が擦れても、綿糸が水分を含んだ場合は糸が膨張してさらに目がつまるため防水性能は長く維持されます。なお、インナーバッグの帆布は、パラフィン加工による撥水素材で防水ではありません。
■なぜ上部は「巻きこみ式フラップ」なのか
多くのトートバッグは上が開放されたままで、気軽な一方、海辺では風が強いといつの間にか砂が吹き込んでしまいます。突然の雨に襲われることもあるでしょう。中にカメラ機材を入れたりするには、砂も水も大敵です。また、荷物が他人に見えてしまうのを避けたい場合もあります。
そこで『海旅トート』では、フタとなる巻き込み式フラップ(帆布の延長部分)をつくりました。トートの気軽さと、海辺のバッグならではのガード性を兼ね備えます。また、荷物が多いとき、長い荷物があるときにも、このフラップを伸ばせば容量がさらに増やせるという利点も生まれました。
■なぜ「ジッパーを使わない」のか
トートバッグでも上部が閉じられるものの多くは、ジッパー(ファスナー)を用いています。けれども職人さんたちにヒアリングして確かめてみると、金属のジッパーは思っている以上に「塩」に弱いらしい。海に持って行くには、ウィークポイントなのです。またいわゆる「防水ファスナー」は、プラスチック製・・・。フラップを巻きこみ式にし、金具で固定できるスタイルにしたのは、こうした理由です。
■なぜ「外側にポケットがない」のか
使い勝手を考えると、外側にポケットほしいのですが、あえて無くしました。砂浜で使っているとどうしても砂が入り込んでしまい、掃除も大変だからです。いろんな解決策も考えましたが、ここに大きなコストをかけたくない、という判断があったことも書き添えておきます。
■なぜ、これだけ「大容量」なのか
もっと海を楽しむ人を増やしたい、もっと海辺や浜を楽しむ提案がしたい。これがメンバーの願いであり、行動原理のひとつです。そこでシミュレーションとして「砂浜でのピクニック」をやってみました。
折りたたみのイスやテーブル、簡単な調理器具を持って行きたい。アウトドアのベストセラー商品を揃えてサイズを測ってみました。その結果、アレとアレを入れるならこのサイズ、なわけです。
また、シートや食材やカップ、タオルや雨具などなど、持って行きたいものも詰め込んでみました。また、普段の生活で、ジムに通う道具も入れたい、PCも入れたい。出張にも持って行きたいよね、と検討した成果が、この大容量なのです。