本の美術展をイメージした新ジャンルの『企画本屋』を開催したい!
長い長い作文 第1話「本と体育館」
冬の体育館。壁際に並んで座り、本の話をしたことを覚えている。
好きな作家さんの名前を挙げたら、彼女もその人の本を読んだことがあって、話が盛り上がったっけ。
彼女は当時大学生で、専攻は日本文学。
『言葉が好き』という点でも、彼女と私は共通していた。
彼女は、私の当時の彼氏の友達の彼女だった。
彼氏たちはあるスポーツの社会人チームに属しており、練習の際に彼女を紹介してくれたのだった。
さやちゃんの名前と漢字を知った時、とてもさわやかで綺麗な名前だ、と思った。
彼女は私の1歳年下だったが、波長が合う感じがした。
ダブルデートの話が持ち上がったが、それは実現することなく彼らとの関係は終わった。

でも不思議と、さやちゃんとの縁は切れなかった。
私も彼女も星野源が好きで、ライブに誘ったり誘われたりした。
半年~1年近く会わない期間もあったのに、月日を重ねるごとに彼女とは仲良くなっていった。
一緒に旅行に行くこともあった。
さやちゃんとは趣味嗜好や価値観が似通っていて、ほかの人とはできない会話を楽しむことができた。
2019年4月。
私は岐阜県から栃木県へと引っ越すことになった。
愛知県在住のさやちゃんとは距離が離れてしまったが、文通をして繋がっていた。
今の時代に文通? と驚かれるだろうか。
けれど、私と彼女にとってはLINEと同じようにごく自然な選択だった。

hontenの話をした手紙(左 私より 右 さやちゃんより)
お互いInstagramをやっていたがアカウントは知らず、後になって、二人して届いたレターセットの写真をアップしていたことを知った。
行動まで似通っていたのか、とびっくりしたと同時に、嬉しかった。
2019年8月末。
さやちゃんが東京まで来てくれると言うので、東京で会うことになった。
『BUNDAN』という、様々な小説からイメージしたメニューを提供するブックカフェでお茶をした。
久々の再会に話が尽きず、気付けば夕方のラストオーダーの時間になっていた。
この時、私は自分の夢を彼女に打ち明けていた。
「私、自分のお店を持ってみたいんだ。」
実現できるとは到底思っていなかった。単なる理想に過ぎなかった。架空の世界の話だった。
つづく
「長い長い作文」とは?
クラウドファンディングのプロジェクトページ作成にあたり、今までを振り返って私・三浦が書いた作文。
原稿用紙20枚分に及ぶ。
プロジェクトページに書き切れなかったhontenへの想いをお伝えするため、少しずつ活動報告にアップしていきます。