本の美術展をイメージした新ジャンルの『企画本屋』を開催したい!
長い長い作文 第2話「あきらめていた二人」
「私、自分のお店を持ってみたいんだ。」
実現できるとは到底思っていなかった。単なる理想に過ぎなかった。架空の世界の話だった。
だって、私にはまずお金が無い。
自慢ではないが、社会人になってからお金に困らないことがなかった。
ノウハウや経験も無いし、人付き合いも苦手で人脈も無い。特別な技術や才能があるわけでもない。
こんな私には無理だ。とあきらめていた。自分に自信が無かった。
2019年10月。
さやちゃんから思わぬ手紙が届いた。
「実は私も、自分の本屋さんを開くことに興味があって。」
なんということだ!
私と同じ夢を、私の大切な友達が同じように抱いていたなんて!
自分を肯定してもらえた気がして、涙が出るほど嬉しかった。
しかし、その手紙の続きはこうだった。
「私は本当にあこがれの段階で、このまま動かないのかもしれないけど…。」

そんな悲しいこと言わないで…あきらめないで!
私は心の中でとっさに叫んだ。
自分の夢は簡単に否定していたのに、さやちゃんには、大切な人にはあきらめてほしくなかった。
矛盾している。と思う。
でも、この矛盾こそが、『企画本屋honten』を生み出したのだった。
それから、どうにか彼女の夢を叶える方法はないかと考えた。
私がお店を持てたら、そこにさやちゃんのコーナーを作って……いや、それでは何年後になることやら。そもそも可能かどうかも分からない。
なにかあるはず……必ず道はあるはずだ……。
はたと気付いた。
大きな夢を、一気に完璧に叶えようとしていた自分に。
そうじゃなくて、今できることから少しずつ叶えていけばいいんじゃないか?
しかし、何をどうやればいいのだろう。
他と同じことをしていたのでは、つまらない。

他にない私だけのオリジナルを模索したノート

『読むだけではない本』という、現キャッチコピーに似た言葉も。
昔から、流行物は敬遠する質だった。
みんなが知っていることよりも、みんなが知らないことに惹かれたし、人と違うことをしたがった。
中高生の頃は、『企画サイト』と称するサイトを運営していたほどだ。
私は考えた。
考えて考えて、考えが煮詰まって、ええいもう寝てしまおう! と部屋の電気を消し布団をかぶった直後だった。

『本を美術館みたいに額に入れて飾って販売する。』
ポン。
真っ暗だった頭の中に、この言葉が突然降ってきた。
つづく
「長い長い作文」とは?
クラウドファンディングのプロジェクトページ作成にあたり、今までを振り返って私・三浦が書いた作文。
原稿用紙20枚分に及ぶ。
プロジェクトページに書き切れなかったhontenへの想いをお伝えするため、少しずつ活動報告にアップしていきます。