クラフトの未来と過去をつなぐ「モノ・モノ」再生プロジェクト

クラフトの未来と過去をつなぐ「モノ・モノ」再生プロジェクト

モノ・モノの活動がわかる1冊を紹介します

クラフトの流通改革に取り組んできたモノ・モノの先見性

皆さん、こんにちは。 「モノ・モノ再生プロジェクト」オーナーの菅村大全です。 今回は1970年代から80年代にかけてのモノ・モノの活動をまとめた書籍『秋岡芳夫とグループモノ・モノの10年——あるデザイン運動の歴史』の紹介します。 著者は工業デザイナー出身で、モノ・モノ3代目代表をつとめた山口泰子氏。奥付を見ると、1980年11月10日の発行となっています。 以下は同書の目次です。 == はじめにまたは総括——世のため人のためではなく、彼等は気に入ったことをやってきた 1.工業デザイナーが立ち止まった——1969年、中野区中野メゾンリラ104号 2.皆で集まってデザインしてみたら?——会議方式によるデザインの試み 3.者・者からモノ・モノへ——それはおしゃべりからはじまった 4.モノ・モノ初めて外へ出る——〈くらしの提案〉東京・京都1971年 5.問屋が買わないならモノ・モノが買おう——流通問題への第一歩 6.展覧会方式による流通の試み——“白木のモノ”展 東京・名古屋・札幌・京都 1974年 7.モノ・モノもの書きこと始め——1973年から75年 8.モノ好き・アイディア・そして夢、ときに流れることもある——東北地方とモノ・モノ 9.クラフトは文化運動じゃないんだ——工芸村方式で工芸の復興を 10.生活の器は本来ローカルなものである——“気のモノ”展 仙台に引越す 1975年・76年 11.個人にも工業にも注文を出さないか——1100人の会と市民法人 12.椅子のアシをちょん切ろう——再び〈くらしの提案〉1977年・76年 13.雑木こそ日本人の木——「暮らしの中の自然」とは? 14.モノ・モノ10年、今後の課題 == どうでしょうか。35年以上前に出版された本ですが、モノ作り関係者であれば、つい手に取りたくなるのではないでしょうか。 秋岡芳夫とグループモノ・モノの活動は多岐にわたりますが、私が見逃せないと思うのは、活動の初期段階から「流通」を意識していた点です。 工芸の美や様式を論じることよりも、現代社会において手仕事をいかにして復権できるかをクリエイターのチーム力で実践してきたところに、私はもっとも共感しています。 私が自費出版している『Crafter』というリトルプレスもその延長線上にあるといえます。 同書で紹介されている「展覧会方式による流通の試み」、「工芸村設立」、「1100人の会」などは、クラフトの流通改革の実験的な試みといえます。さらに80年代以降は、岩手県大野村(現・洋野町)での「一人一芸運動」や、北海道置戸町での「オケクラフト」など、手仕事を生かした地域活性、流通の仕組み作りを精力的に進めていきます。 ちなみに『秋岡芳夫とグループモノ・モノの10年』は現在絶版中。Amazonでは7500円(定価は4800円)で中古販売されていますが、現在仮オープン中のモノ・モノへお越しいただければ、こっそり定価でお分けいたします。
改装後のモノ・モノには秋岡芳夫の著作を収蔵したライブラリースペースを用意。
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