ブルガリアのピリン山岳100マイルレースで優勝を狙い、その映像制作を行いたい!
ブルガリア遠征の3つの大きなチャレンジ②
前回の報告に引き続き、ブルガリア遠征の3つの大きなチャレンジ、二つ目を書かせていただきます。どのようなレースなのか、本文中にも書いているのですが改めて書かせていただきます。

photo by Ranyo Tanaka
硬い大理石の岩盤を長時間走る筋持久力との戦い
今回舞台となるピリン国立公園は、2500m級の高山が60も連なるブルガリア最大の自然公園であり、世界遺産にも登録されています。起伏に富み、118の氷河湖が点在する豊かな湧水が特徴なピリン山脈では、日本でも有名なエーデルワイスをはじめ、樹齢1300年の巨大なもみの木など、2100種類もの植物が生息する環境が整っています。
そして最大の魅力が、一年中、雪が積もっているかのような白い山頂が、大理石の一枚岩になっていることです。かつてピリン山脈は海の底にあり、マグマの変成作用によって大理石によって形成されたと言われています。 今回走るコース上には、ピリン山脈最高峰のヴィフレン山(標高2915m)や、バユヴィ・ドゥプキ=ジンジリツァといった自然保護区を通ります。
自然豊かな絶景を走ることは想像するだけで興奮しますが、走距離160kmで、登り区間を全て合計した累積標高は11,000mというコースは、今年の4月に私が優勝したUltra-Trail Mt.FUJI 2022と比べると同じ距離なのに累積標高は約2倍に匹敵する山岳レースです。累積標高のみで話すと、富士山を3往復、エベレストよりも多い高低差であり、かつ大理石によって形成された硬い岩盤のコースは長時間走れば走るほど、足へのダメージが増大であることが予想されます。
世界には様々な100マイルレースが存在します。比較的走りやすい山道が多いコースのスピードレースであったり、今回参加するような岩場や急登が多く走るには困難な山岳レースなど、その国、その地域の特色を生かしたユニークな大会が目白押しです。その中でも今回挑戦するのは後者のテクニカル区間の多い、山岳レースです。先ほど例に出したUltra-Trail Mt.FUJI 2022の私のゴールタイムは21時間でしたが、今回のブルガリアのピリンは過去の優勝タイムを見ると40時間前後と倍近くゴールに要する時間が違います。それほど、テクニカルなコースであると言えます。
テクニカルなコースほど、自然の力を利用し、重力を味方につけて風を切る感覚がとても気持ち良いのが私が山岳レースを好む理由です。そんな山岳レースにおいて、私はこれまで満足に勝負できたレースは未だありません。山岳トレイルは好きですが、得意ではないのです。自分の好きを得意に変えたい、ブルガリアの大自然がそれを後押ししてくれるのではないか、そういった経緯がありこの大会に挑もうと決意しました。
どんな景色をみなさんにお伝えできるのか、私自身もとても楽しみです。ぜひ映像ができるまでの経過もお楽しみにしていただければ嬉しいです。

photo by Ranyo Tanaka