”左手のピアニスト”の挑戦を成功させたい!~80歳バースデーコンサートへの道

”左手のピアニスト”の挑戦を成功させたい!~80歳バースデーコンサートへの道

プロジェクト達成!舘野さん万歳!皆様に心より感謝をこめて!

目標を達成いたしました。皆様のご支援に心より御礼申し上げます。期間の最終日までどうぞ宜しくお願いいたします。

ルネ・シュタール作曲「ファンタスティック・ダンス」は世界初演です。シュタールさんに作品について語っていただきました。

はじめに。「ファンタスティック・ダンス」は、恩師でもあるピアニスト舘野泉先生のために書いた作品です。先生には1968年~1969年にヘルシンキのシベリウス・アカデミーでピアノを指導していただきました。ルネ・シュタール

「ファンタスティック・ダンス」は、5楽章からなる構成とし、幻想曲、組曲、そしてロンドのような性質を持つ比較的長い3つの楽章の間に、それぞれが、ある独特な舞踊のリズムを持つ、2つの短い楽章が挟まれています。 この作品は、世界中で私たちが出会う多種多様な形式と表現を持つ舞踊、すなわち、社交ダンス、伝統舞踊、儀式の踊り、戦いの踊り、死の舞踏などへのオマージュになっています。それぞれの楽章は、次のように題名がついています。 第1楽章:「思い出と夢」(メモリーズ・アンド・ドリームズ) 第2楽章:「クォフォウ・スペシャル」(クォフォウ・スペシャル) 第3楽章:「五音音階の旋法で」(イン・ペンタトニック・モード) 第4楽章:「フィンランドのポルカ」(スオメン・ポルッカ) 第5楽章:「交唱歌のようなダンス」(アンティフォン・ダンセス) 第1楽章「思い出と夢」は、私たちに主題を提示します。最初に現れるダンスの要素は、ピアノの自由なカデンツァと、オーケストラの様々なリズム要素が交錯する中から生まれます。これは、イーゴリ・ストラヴィンスキーが2拍子系と3拍子系を使って作り上げた変拍子への、ある種のオマージュです。こうしている間に、ハーモニーは私自身が作ったコードに関する法則に従って進行します。この「幻想曲」がさらに先に進むと、変化を続ける構造に加えて、固定された構造も現れます。それらは、サラバンド、クーラント、タンゴ、そして最後には、ペダルポイント(持続音)のようなオスティナートによる「死の舞踏」といった、様々な性質を帯びた音楽となって引き継がれていきます。  第2楽章「クォフォウ・スペシャル」は、導入部のピアノ独奏部分を除いて、もっぱら単一のリズムとそのバリエーションから成る曲です。「クォフォウ」という言葉は、私の遊び心を込めた造語で、ハバネラのリズムが5/4拍子へと変化を遂げる様を表しています。  第1楽章では、ピアノは時折オーケストラから離れ、独立した形で奏でられます。第2楽章では、ピアノとオーケストラの動きは均等に混ざり合います。そして、第3楽章「五音音階の旋法で」は、第1楽章から第2楽章へは、ほんの一呼吸をおくだけで、ほぼアタッカのように入りますが、第2楽章とは、はっきりと切り離された形で始まります。  「五音音階の旋法で(イン・ペンタトニック・モード)」という題名からも想像がつくように、第3楽章ではダンスの要素との関連は、さほど明確ではありません。ピアノとオーケストラは対等にかけあいます。やがてピアノはそうした動きから離れ、まるで果物が皮を剥かれ中身がさらけ出されていくかのように展開します。ここで特に印象的なのは、変化を続ける5/8拍子のセクションです。このセクションはコラールの形をとり、次第に長さを増していく音符よって、フェルマータの効果を生み出そうとしています。そして、最後のコーダもまた印象的です。下降音階のようなピアノの独奏に導かれて、曲はそのまま短い第4楽章へと突入します。  「フィンランドのポルカ(スオメン・ポルッカ)」という題名のついたこの第4楽章は、第2楽章と同様に、ある1つのリズムに焦点を絞っています。この荒々しい楽章は、非常に激しく変化するテンポが特徴です。常に前へ突き進もうとする音楽は、突然の失速によって何度も妨げられ、そしてまた加速によって勢いを取り戻す、ということが繰り返されます。  第5楽章(終楽章)は、「交唱歌のようなダンス(アンティフォン・ダンセス)」という題名からも明らかなように、ピアノとオーケストラの対話が大きな特徴となっています。 現在、世界中で最も危険な場所のひとつに、イラン北東部とカシミール地方の間の地域があります。カシミール地方は、インドとパキスタンがその領有権をめぐって争い、戦争、テロリズム、部族紛争、宗教の違いによる対立など、様々な理由によって引き裂かれた地域ですが、このようなところにも、「祭り」は行われています。 多数の構成単位から成る「ラクス・チューブ」という素晴らしい踊りは、元々はイランのコーラサン地方の民族、クルド人の踊りです。また、「アタン」という踊りは、イラン、アフガニスタン、そしてパキスタンの紛争地域であるワジリスタンなどに住む、パシュトゥーン人の間で最もポピュラーな民族舞踊です。これらの踊りには、婚礼の踊りから戦いの踊りに至るまでの、数え切れないほどのバリエーションがあり、ワジリスタンでは手にライフル銃を持って踊られることもあります。「ラクス・チューブ」は、これまでに数々の作曲家の興味を引いてきました。その理由は、この踊りを構成する多くの単位が、テンポに関わる要素によって互いに結び付けられているからです。最近の数十年間で特に注目すべきなのは、これらの踊りを男性と女性がそれぞれ別々に踊るようにアレンジしたものが、イラン、アフガニスタン、およびパキスタンで生まれたことです。(男性が踊る場合は、皆で一緒に歌いながら公衆の面前で踊ります。女性が踊る場合は、外部からは見えないプライベートな場所で踊ることが多いようです。私たちは、これらの踊りが持っている力、つまり一触即発の危険性を秘めた社会的および政治的な力を、過少評価しないように気をつけなければなりません。タリバンが、男性の「アタン」以外の踊りを基本的に禁止しているのも、こうしたことが一因となっています。) ルネ・シュタール
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