林業家・橋本光治さんの人生と森づくりの極意を本にまとめて届けたい!
100年の時を刻む
壁掛け時計の制作秘話
木工房ゆうむさんが手がける「100年スギの壁掛け時計」。この時計は今回のクラウドファンディングのためだけに、特別に制作していただきました。その制作秘話を作者の打木真木さんに伺いました。

無機質なコンクリートの壁に掛けてもコントラストを楽しめる。
無垢材を使ったすてきな木工品を数多く作ってこられた打木さん。
その中のひとつに、ヒノキを使った壁掛け時計がありました。
時計の針に木の枝を取り付けたデザインが「正確に時を刻む」という時計の生真面目さに、どこか柔らかさを加えて、「肩の力を抜いていいんだよ」と語りかけてくれるような気がしました。
木工房ゆうむのオリジナル壁掛け時計。振り子が付いている。
今回のクラウドファンディングのリターン品を作るにあたり、橋本さんの100年スギは木目の緻密さを全面に出して、手にした人に年輪の美しさを味わってもらいたいと思っていたので、木工房ゆうむさんが手がけたオリジナルをベースに、輪切りデザインの壁掛け時計を作ってもらうことにしました。
そこでまず、滝川が用意した輪切り材を使って試作をお願いしました。時計の針にはモミの木を使っています。
試作を見た感想は、年輪がデザインとしてうまく成り立っていて時計に表情が生まれていると感じました。
試作した壁掛け時計。時計の針はモミの木の枝。
文字盤の数字
試作を経て、いよいよ本番の制作がスタートしました。
文字盤の数字は、ブラックウォルナットを使って、「遊び心のある個性的なフォントを選んで、レーザーカッターで切り抜きました」と打木さん。
ブラックウォルナットを使った文字盤の数字。
時計の針
時計の針には、橋本山で採取したクロモジを使います。
「秒針、短針、長針、それぞれに合う太さの枝を選び、枝分かれや色合いなど、魅力的な部分を切り取って使います。針が重ならないように削ったり、バランスを見ながら長さをカットしたり、自然の形の面白さを活かしたデザインに仕上げます。」
自然の造形から、形や枝ぶりを選んで、バランスよく仕上げる。言うは易し、行うは難し。違和感なく自然に見える、これは打木さんのセンスの賜物です。
金属製の時計針のパーツをカットし、クロモジの枝をパーツの一部と合わせます。
そして、仕上げにニスを塗ります。
クロモジと言えば高級爪楊枝。もともと弾力があって丈夫ですが、ニスを塗ることでさらに強度を高めることができます。
環境に優しい水性のウレタンニスを使っています。
橋本山から持ち帰ったクロモジの枝。これを使います。
枝ぶりを見ながら剪定
針が重ならないよう削っていきます。
長さを調整し、金具をつけて、ニスを塗って仕上げます。

クロモジの時計針の完成。打木さんのセンスが光ります。
丸太のまま、を活かすためにあえて樹皮はそのまま残しています。
樹皮を残すことで、白い部分と茶色い部分とでコントラストが生まれ、表情に締まりが出ました。
時計のムーブメントには、信頼性の高いSEIKO社のものを使用し、電池を入れて丸一日試運転をしてから発送を行います。

樹皮を残した自然感じるデザイン。
橋本家の歴史が100年分詰まった年輪を眺めながら、悠久の時を刻む、世界に一つしかない時計の完成です。
ご自宅やオフィスに飾ったり、贈り物としても喜ばれるかと思います。
「100年の時」をお楽しみください。