207年目の答えは「ふつう」でした。625g・豊岡発の全部入りトート

「ふつう」の裏側には、千年の歴史がありました。

先日は、公開初日に目標を達成することができ、あらためて御礼申し上げます。たくさんの「これを待っていた」という声に、豊岡の工房一同、励まされております。 さて今日は、「ふつうのかばん」の少しだけ意外な背景について、お話しさせてください。 このバッグは、派手さのないシンプルな鞄です。けれど、その背後には思いのほか長い歴史が横たわっています。 豊岡の鞄づくりのルーツは、「柳行李(やなぎごうり)」という、柳の枝を編んでつくる収納具にあります。その歴史は驚くほど古く、一説には千年以上前まで遡るとも伝えられています。平安時代の書物や、奈良時代の史料のなかにも、柳を編んだ箱の記述が見られ、当時は宮中への献上品として用いられていたとも言われています。
つまり豊岡では、はるか昔から「柳を編んで、ものを入れて、運ぶ」という営みが続いてきたのです。その手仕事の技術が、時代とともに旅行鞄へ、そしてビジネスバッグやトートバッグへと受け継がれ、豊岡は国内最大の鞄産地へと育っていきました。 木和田も、その長い流れのなかにいます。文政二年(1819年)に商いを始めて以来、二百年以上、鞄づくり一筋に歩んでまいりました。 「ふつうのかばん」の、見えない裏側の縫い目。長く使うほどに馴染んでいく仕立て。その一つひとつには、豊岡で受け継がれてきた「長く使えるものをつくる」という、気の遠くなるような時間の蓄積が生きています。 派手な機能や、驚くような仕掛けはありません。けれど、当たり前のものを、当たり前に長く使えるようにつくる——それは実は、千年をかけて磨かれてきた、いちばん難しい技術なのかもしれません。 だから私たちは「ふつう」を、二百年分の——いえ、豊岡に受け継がれた千年分の真剣さで、丁寧につくりました。 これからも、その背景にある物語を、少しずつお伝えしていけたらと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。 木和田株式会社 社員一同