世界一と称される“肉職人”の店「ユーゴ・デノワイエ恵比寿」を復活させたい!
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熊本あか牛の「池山牧場」さんに行ってきました(その3)
水源をご案内いただいた後に、ついに牛舎です。
きれいな牛舎に、赤毛のきれいな毛並が光っているあか牛たちが約100頭、数頭づつ月齢ごとに区分けされていました。一頭ごとに区分けされて動けないようにして育つ、一般的な肉牛とは全く違う飼育環境であることがわかります。
牛たちの真っ黒な目が、揃った赤毛の中でキラキラ光っている顔が印象的でした。
最近の肥育農家さんでは、穀物や配合飼料などを使って促成育成をしたり、脂肪分を増やしたり、人工的な飼育をしているところが多い中、池山牧場さんでは良質な牧草を与える飼育法を厳格に守っています。
仔牛のころから牧草をお腹一杯食べることで、四つの胃が牧草を消化することに慣れていくとのこと。私たちが見ている前でも、口からはみ出す勢いで牧草をムシャムシャと食べていました!
牛たちが食べている牧草は、熊本の草原を毎年野焼きし、毎年新しく生えてくる草を原料としています。この草を丁寧に刈りとり、乳酸菌発酵をさせているそうです。
発酵した草からは何ともよい香りが立っており「食べたものが肉の味になる」という説明の通りだなぁとあらためて感じました。きっと、グラスフェッドの肉好きの方にはたまらない香りなんだと思います。
そして、牛舎の次に放牧場をご案内いただきました。
この放牧場ではお産前後の母牛や仔牛が放牧されています。「1ヘクタール(1万㎡)に1頭」という決まりに沿って広々とした牧草地で牛たちが自由に活動しています。
井さんと一緒にトラックで放牧場に着いた時のことです。クラクションを鳴らし、大きな声で「お~い!」呼ぶと、遠くから牛たちが集まってくる・・・ハズでした。牛たちは聞き慣れている音や声をキチンと聞き分けているのだそうです。
しかし、その日は残念ながら、牛たちの気分がのらず?ひょっこりと顔は見せてくれませんでした。残念と思う反面、本当に自由なんだなぁ、ストレスもないわけだ。と妙に納得してしまいました。というわけで、牛たちのいない放牧場で井さんとパシャの写真です。
池山牧場のあか牛たちは、前回ご報告した「池山水源」の水を飲み、井さんが手間をかけて作った牧草を食べ、清潔でゆったりとした牛舎で大切に育てられています。
まさに、アニマルウエルフェアの精神なのです。
ところが、アニマルウエルフェアについて井さんに伺いましたところ「何のことはないですよ。日本では昔からこのような育て方をしているのです。私たちは昔ながらの育て方をしているだけですよ。」との返事でした。スバラシイ!
日本人が牛肉をたくさん食べるようになって商業的な観点が入ったことから、飼料や促成飼育など様々な人工的な飼育法が生み出されてきましたが、井さんの育て方が、牛にとって最も良い環境なのだと思いました。
井さんからご提供いただくあか牛をお客様にお出しすることができることに責任と自覚をもって臨まなければならないと、再認識した熊本訪問となりました。