彫刻になって、ハリウッドスターと共演しよう!〜吉田孝弥彫刻展〜

彫刻になって、ハリウッドスターと共演しよう!〜吉田孝弥彫刻展〜

作品紹介⑤「父さん」

「父さん」 作品制作年:2015年 作品素材:石粉粘土・軽量粘土・発泡スチロール・木製パネル・アクリル絵具・刷毛 サイズ: H232 W91 D73 当時、展示した時の作品コンセプトを載せます↓ 私は今まで映画をモチーフにした作品、派手な配色の作品を多く制作してきた。 それは父がTVで観ていた映画や、よく二人で訪れた新宿のネオン街、映画やさくらやの広告看板が関係している。 昨年、そんな父に癌が発覚した。 身近な人にも死が訪れるということをはじめて実感し、恐怖と焦りから自分が出来ることとは何かを考え、彼を作品に残そうと決めた。 今まではフィクションの世界から影響され表現してきたが、身近な存在をモチーフに制作することは初めての試みだった。 父はペンキ屋だ。仕事中はマジメで怖い。私は幼い頃からそんな仕事一筋の父しか見たことがない。 そこから連想し、仕事を戦に例えた。筋肉という鎧を着せ、褌を締め、職人の命を右手に持たせ、出陣する姿として表した。 反対に彼には遊びのイメージが無かったため、せめて仕事から解放されてほしいという願いを込め、新宿にあった映画看板、ネオン街やさくらやの看板を遊びの要素として作品に取り入れた。 リアルではあるが完成した作品は本人と全く別のものになった。 しかし、その姿は吉田孝司そのものにしか見えない。これが私の彫刻表現である。 ・作品がこの素材である理由 大学で三年間学んだ、型取りを必要とした水粘土での人体塑像を、自分の解釈で表現したい。 そう思い、素材は以前から制作の主な素材としてきた、ふわかる粘土や石粉粘土にした。 この素材は自然乾燥で固まるため、型取りの必要がない。 今までの自分の作品は小さかったからこれが可能だったのだが、大きくしても作り方は変えたくなかった。 しかし、空間に粘土を置いていく感覚を持ちながら制作したかったので、針金などの芯棒は入れないまま制作した。 小学校や中学校の美術の時間に使う、大きな作業には適さない粘土で人体像を作りたい。この一心で、この素材を選んだのである。
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