存続危機の石版リトグラフを、工房最後の刷り職人×デザインのチカラで盛り上げたい
プレス機の修理に挑戦(スキージ編)
今回の主役はこのスキージ。目立たないけど欠かせないパーツです。
みなさん、こんにちは!Re:lithoです。
私たちのプロジェクトにおけるマスターピース。それはプレス機!
石があっても、インクがあっても、それを印刷物にできるのは、プレス機!
しかしながら、経年による影響が出やすいのも、このプレス機。現代のオフセット印刷機などに比べれば、単純な仕組みではありますが、それでも結構な数のパーツから成り立っており、そのパーツひとつひとつにメンテナンスが必要になってきます。そこでまずは工房内に残っているパーツを探し、リペアできるものものはやってみよう!と。
まずはじめに修理を試みるのは「スキージ(スクレーパー)」。これは石版に紙を押し当てるための、ワイパーのような部分です。固定されたこのスキージの下を、ベッドに載せられた石版と紙が往復し、インクが写し取られる、という仕組みです。

スキージって、ここのことです。
このスキージ、オフセット印刷やシルクスクリーン印刷などでは、ウレタンやゴム、金属製のものが使われますが、こちら車木工房のプレス機には、本体は木製、接地面は革帯という、これまたアース&エコロジーなシロモノが使われています。
ものすごい圧力のかかるところに、経年劣化しやすい素材を用いているわけで、20年間、プレス機に付いていたスキージは、プロジェクト開始当初、私たちが試運転を試みただけで、木の本体部分が割れてしまいました。そして革帯もひどいコンディション。

一回使っただけで、革のすぐ内側の木がボロボロと砕けてしまい、あせりました...
嘆いてばかりもいられないので、まずはここからLet’s Repair!木はもろい反面、加工しやすい、というメリットもありますし。幸い木製の本体は、カンナがけでどうにかなりそうです。
丁寧なカンナがけで、ボロボロの部分を削り取ります。
問題なのは革帯部分。油分を失ってガサガサ、カチコチ。使えるものは残ってないか、と探したところ、ありました!どこにって?隣の大型プレス機に!
実は、車木工房には「半自動の大型プレス機」×3台と、「手動の中型プレス機」×1台、全部で4台のプレス機があります。ですが当面私たちが使う予定なのは手動の中型プレス機のみ。ですので大型プレス機のスキージを外し、さらにその革帯を外して、中型プレス機用の短いスキージに合わせて切って使おう、というわけ。こういうの、なんて言うんでしたっけ。ああ、自転車操業だ。
大型プレス機の長いスキージについていた革帯は比較的なめらか。これを切って使いましょう。
言葉にするのは簡単ですが、実は難易度の高い作業。特に本体に革帯を付けるのが大変で、プレス時に革帯がズレてしまわないよう、強く突っ張った状態で本体へと接合しなければならないのです。職人の長野さん一人では難しいので、以前車木工房に職人として勤めていた先輩、吉村さんをお呼びしての作業になりました。
革帯の付け方や適切な長さを検討する二人。久しぶりの作業だからか、真剣ながらもどこか楽しそうです。
こうしてスキージは一応修理完了。ただし消耗品なので、これからもメンテンナンスは必要でしょう。そして年老いたプレス機には、まだまだ手を加えなければならない部分があります。これらの他の修理作業に関しましては、また別の機会にご報告させていただきます。
「皆様からのご支援の使いみち」に掲載している「印刷機修理費」の項目は、こういったパーツの新規購入や、場合によっては修理を外注に出す際の費用になります。
車木工房のインフラとも、ライフラインとも言えるプレス機。あの頃のように、毎日稼働する日を夢見て、しっかり直していきたいです。皆様のご支援をよろしくお願いします!
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