1mm間隔のスリットが魅せる、繊細な新しい世界。指先から生まれた光の写真集の物語

1mm間隔のスリットが魅せる、繊細な新しい世界。指先から生まれた光の写真集の物語

進捗の報告

暑いですね

先日の投稿から1ヶ月あまり。3月に始まったクラウドファウンディング が春を経て初夏を経て、本格的な夏に突入する季節になりました。この数ヶ月間で、色々なことが起こり、そして考えつくることが増え、このプロジェクトを進めることができる幸福を感じています。

本機校正

写真集の構成がほぼ完了し、出版社さんからお渡しいただいた本機校正(実際に写真集を印刷する印刷機を動かしての試し刷り)が届きました。第一印象として「綺麗に色が出てる!」ということでした。今回のプロジェクト、一番お金がかかっているのは印刷費です。日本の印刷業者に今回お願いさせて頂きましたが、やはりお願いして良かった感じた瞬間でした。 一方で、私の送った色見本に忠実にして頂けるからこそ、逆にここを直したいという部分が結構あります。色合いや明るさやスリットの入り方。そういう作者にしか判断できない塩梅をペンで書き込んでいきます。例えば「思ったよりスリットが出すぎているので、もう少し光(明るい部分)に溶けるようにしてほしい」というような事を書き込みます。業者さんの手間を考えたらここまで書かないほうが良いかな、という気持ちも頭をよぎりますが、やはり全て書ききることにしました。読者の方に一番良い状況の印刷で届けなければ意味がない。この気持ちを最後まで保てそうなのはクラウドファウンディング を通してこのプロジェクトを支援してくれた方々の存在がありました。業者の方もそうした書き込みを嫌がることなく対応してくれてとても有難く感じています。印刷物は本当に多くの方の気持ちがなければ成立しないものなのだと改めて感じさせられます。
本機校正で出力された写真をテーブルに広げながら確認作業

予定

本機校正がすみ、最終的な校正を経ていよいよ印刷です。私が現在フランスに住んでいる関係で最初の発表をパリのギャラリーでさせて頂くことになりました。その後9月に日本に一時帰国して日本でも出版記念の展示を行うと同時に写真集の発送作業を行う予定です。日本のみなさまの手にはあと2ヶ月少しかかりそうです。もう少しだけお時間を頂きますが、どうかご容赦頂けたら幸いです。 日本では東京と京都で9月に出版記念の会を催すことができたらと企画しています。こちらも日程など決まり次第お知らせさせて頂きます。できたら皆さんのお顔を見ながら写真集をお渡しできたら、幸せすぎます^^。

何を伝えたいのか

この本を作っている中で私はずっと考えていることがありました。 「私はこの本で何をしたいのか」 この本は色々な写真が入っています。写真にスリットを施し、太陽に光を当てた写真もあれば、家族写真もあります。また、それとは全然違う、ある恋人同士を撮った写真シリーズもあります。この本は7年ぶりですが、その以上のものがこの本にはこもっています。 そこで再び、「私はこの本で何をしたいのか」と考えた時、私は新しい世界を提示したいのだと思い至ります。もし私が哲学者なら思想というような感じのものです。技法をカタログのように伝えるだけではなく、またドキュメンタリーとして事実を淡々と伝えるだけではなく、そうしたもの全てがこの本の中で融合して、一つの世界を提示したい。そのように考えています。 それは「指と星」というタイトルに繋がります。 夜空に手を伸ばし、指先に星の光を感じる時、その星の光が何千年何万年の旅を経てここに至ったのなら、その星自体は今どうなっているのか、「在る」ことはわかるが「どうなっているのか」わからない存在として私は星を設定していますが、読む人それぞれの星を探す旅にこの本が資してくれたら良いなと思います。 多分に抽象出来ですが、その抽象さに形を与えられるからこそ私は本を作りたかったのだと感じています。
写真集使用作品
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