故郷島おこし構想 小金丸梅夫
田舎の私にとって、定年退職した後も都会にぶら下がって単なる消費者として暮らしていく人生は面白くありません。それよりも帰郷して半農半漁で美味しい食べ物を可能な限り自給自足し、島おこし活動に残り人生の余熱を燃やすのが、男のロマンと考えています。何としても故郷を無人島にするわけにはいかないのです!これまでの人生は国際協力を通して30年間以上日本のために働いてきましたので、残り人生もやはり日本のために故郷の島おこしに頑張ります。私の故郷六島を4Fの楽しめる島にすべく再開発して行こうと決意しています。4つのFとはFishing(魚釣り), Flower(花), Fruit(果物), Feeding Animal(家畜飼育)の意味です。
そのために小型船舶操縦1級免許を習得して中古漁船を購入し、漁協と農協の準組合員になりました。次の目標は民泊か民宿の親父になることです。六島に来てくれるお客さんに、半農半漁の体験学習を楽しんでもらいたいものです。そのために下記の様な開発計画を推進していきます。読者の皆さんにもっといいアイディアがあったら、遠慮なく提案していただきたいものです。
(1)段々畑の復旧再生
チェーンソーと芝刈り機で竹林・雑木林と化した段々畑を伐採・開墾していきます。体力と相談しながらマイペースで進めていきます。毎年6~7月頃に伐採すれば、竹は来年春に新芽を出すための栄養を地下に蓄積できず、比較的楽に開墾できるそうです。ただ伐採するだけではもったいないので、木炭・竹炭を作って土壌改良材にしたり、木酢液を作って農薬や化学肥料をあまり使わない有機農業の確立を目指します。
(2)防風林の植林
伐採・開墾して再生した段々畑の縁取りに、防風林を一列植えます。防風林としては今のところ六島に自生する藪椿やマサキなどを考えています。椿が防風林として有効であれば、島全体で椿の木を数千本植えることになるので、花弁や未熟果は鶏や家畜の濃厚飼料になるだろうし、完熟果から採れる椿油も観光土産品として販売可能となるでしょう。
(3)果樹園づくり
防風林を植え日照条件のいいところの段々畑を選び、果物の多種少量生産を行います。民宿客に好きなだけ自由に食べさせるためです。県内の農業試験場や農業改良普及所に相談しながら、果樹の種類と優良品種を決めます。母校の東京農大や派米農業実習同期生に果樹栽培農家が、接ぎ木に使う穂木(枝先)を譲ってくれそうなので、六島で台木を育苗して、自前の接ぎ木苗木を生産することも考えています。今考えている果物はイチジク、ミカン類(キンカン、温州みかん、ザボン、レモンなど)、柿、スモモ、ブドウ、キューイフルーツ、梨、ヤマモモ、ブルーベリー、ラズベリーなどを考えており、一部については既に数株づつ試験栽培を始めています。
(4)花を植える
民家の庭先に現存するハイビスカス、ブーゲンビリア、ツツジ、ノーゼンカズラ、それに野生の藪椿などを挿し木繁殖させ、島の観光スポット候補地や農道沿いなどに花を植えていきます。
(5)六島に自生する野生果樹の栽培・加工
子供の頃によく食べたオオイタビ、イヌビワ、グミ、クワなどを栽培して、ジャムなど農産加工にチャレンジします。これらの野生果樹は国内でもほとんど栽培されておらず、うまく栽培でき宣伝できればいきなり日本一になる可能性もあると思われます。オオイタビやイヌビワの木は昨年確認しマークしてある木が今年も豊作なので、挿し木で増やして段々畑に植える計画です。民宿客にジャムやジュースやパイにして食べてもらい、気に入ってもらったらコンピューターを使って、果実や苗木の通信販売ができるかもしれません。
(6)ヤギの飼育
島にあふれる野草と段々畑に植える牧草で、ヤギの飼育を考えています。昨年9月1週間だけでしたが、長野県佐久市にある農水省家畜牧場で山羊飼育の短期研修を受けました。ヤギの乳からチーズ、ヨーグルト、アイスクリームを作り、民宿のメニューをより幅広くヘルシーにしたいものです。
(7)山野草の増殖と通信販売
コンピューターを使って調べてみると、山野草が高値で通信販売されていることがわかります。六島にあるマムシ草、しばつけの葉がとれる植物、トベラ、ツバキ、イヌビワ、グミなどの鉢植えが一鉢500円から~数千円で通信販売されています。六島にはこれら植物資源が未利用のまま自生していますので、積極的に環境保護しながら経済的持続的に活用すべきだと考えています。播種や挿し木や接ぎ木による繁殖方法は、これまでの仕事上の経験と知識で分かっていますので、商売として成り立つ可能性があるのではないかとみています。
(8)エコ・歴史ツーリズム
野首教会は世界遺産候補として、神嶋神社は五島列島最古の神社(704年創建)として、王位石は日本の数少ないパワー・スポットとして全国的に有名になりつつあり、国内や外国からの観光客が増加しつつあります。英語やスペイン語が話せる民宿親父及び通訳兼ガイドとして、これらの観光スポットへ案内して、ガイド料が稼げるのではないかと考えています。数年前、野崎島北端の波打ち際にある鳥居~沖の神嶋神社・王位石~野崎港~野首教会~野首港まで単独トレッキングしてみました。昨年はIT協会のガイドに従って野崎港から王位石までの往復してみました。体力的にまだまだやれると自信がついたので、今後も健康と体力維持に努め、神嶋神社参拝最高齢者の記録作りにチャレンジしようかと考えています。
(9)ヨット・クルージング
パソコンで検索すると、中古の安いヨットが写真入りで多数売りに出されています。六島の漁師人口減少でヨットが一隻係留できるスペースは十分あります。ヨット操縦の体験学習できる民宿として宣伝すれば、お客さんは喜んで来てくれるだろうと考え、2年程前に沼津市にあるヨットスクールで15日間の訓練を受けてきました。黒母瀬までの往復や小値賀群島一周などを想像するだけでも、夢が広がっていきます。
(10)民泊/民宿の建設
理想的な建設場所は島の南西側で標高中腹なところです。そこからは水平線から生まれる朝日と水平線に沈む夕日が見られ、六島海峡(六島・野崎島間の海峡)を眼下に見下ろし、雄大な野崎のお山さんを見上げることのできる、オーシャン&サンライズ・サンセット・ビユーの見晴らし最高の場所です。生まれたての朝日が、水平線から六島の海岸まで到達する「黄金色の海上の道」を作り出す自然現象に、常日頃そんな朝日を見たことのない都会住民は必ずや感動するものと思われます。屋上に小さな露天風呂をつけて、満天の星を見上げながら温泉気分を満喫してもらおうかとも考えています。民宿の周りには四季折々に花が咲く植物を配置し、体験学習で釣り上げた魚介類をバーベキューで楽しめるようにします。夜はカラオケでも楽しみましょう。島の住民は世間慣れしてないためか見知らぬ他人の接待が苦手のようですが、私はこれまで国内外転勤のサラリーマン人生だったので、世間一般の人達や外国人お客さんとの交流を楽しみにしています。ところが小値賀の建設業者に現地調査してもらったら、直ちに建設不可能と宣告されました。車道がないからそこまで重機や資機材が運べないというのです。悩んだ結果の次善策として、可能ならば休校状態の旧教員住宅の払い下げ譲渡で代替できないものかと考えています。
(11)自然学級の開講
夏休みに中高生対象の自然学校を開講できないものかと考えています。島には児童生徒がいないため休校状態で全く活用されていませんが、まだまだ使える校舎と体育館があります。自然学級の内容として以下のようなメニューを考えています。
①野山をハイキングし自然の植物や動物を身近に観察して、生態的な知識を得る。
②農作物や家畜に触れてもらう。
③海岸散歩や海中遊泳して、生きた魚介類について勉強する
④和舟の漕ぎ方を練習する
⑤フィッシングを楽しみ、釣り上げた魚をさばいて料理して食べる。
⑥私の国際協力体験談とパワー・ポインターで外国農業や異文化へ理解と好奇心を高める
(12)世界海洋文学図書館の設置
これまで買い集めた本が数千冊あり、千葉市にある我家の書斎にはおさまりきれず納戸などを占領しているため、女房からの苦情が絶えません。これからは海洋文学中心に古本を収集して、民宿の横に小さな図書館を立てるのが夢です。六島海峡や五島灘を見ながら世界の海洋文学を読める贅沢を、お客さんにも味わってもらいたいと考えています。黒松林のハンモックで横になり、潮風に吹かれ潮騒を聴きながら「潮騒」や「老人と海」など名作を読むのは、生涯忘れられない思い出になるかもしれませんね。私自身も図書館にこもって、これまでの国際協力の経験を生かした、執筆活動を続けたいと考えています。
以上、私の民宿・島おこし構想を簡単に書いてみました。一度に一気にやろうとすれば、相当な予算が必要ですが、自己資本は限られていますので、優先順位ややりやすい順に徐々にやっていきます。
(了)