Photo Life Laboratory ULYSSESの魚住です。
デザインが決まり、クラレさんの全面的なバックアップで専用の素材も開発され、ついにバックパッカーズポーチのクラリーノを使った試作品が形になりました!
カラーはブラックとオリーブです。
当初から決めていた通り、横幅は大きいサイズのiPhoneに合わせてあるのですが、開発期間が1年半にも及んだことから、ベンチマークしていたスマホの機種もiPhone Xs→iPhone 11→iPhone 12と進化して、その度にジリジリとiPhoneのサイズが大きくなってしまい、最初に決めていたBPPの大きさで収まるかどうか、かなりヒヤヒヤしました(厳密に言えば、この原稿を書いている時点で、最も大きなiPhone 12 Pro MAXはまだ発売されていないので、現物でちゃんと入るかどうかのテストはできていません。それについては、追ってご報告します)。
BPPの総括的な説明はプロジェクトページに譲るとして、ここでは、プロジェクトページでは伝えきれない「細かいこと」をクローズアップしていきたいと思います。
全力で走れるバッグでありたい
BPPを作るにあたり重視したポイントのひとつは「フィット感」です。これには、物理的な意味と抽象的な意味があります。
抽象的な意味とは、「日常にフィットする」ということ。
BPPは、家を出る時にそれさえ掴めばとりあえず大丈夫という安心感が得られる、持ち物の最小単位として考えました。天候を選ばずに使えることも使用頻度に関わってくる部分なので、日常へのフィットには欠かせない要素です。
一方で、「体にぴったり寄り添う」という物理的なフィット感も大切にしました。達成したかった基準は、BPPを身につけたまま全力疾走できるということ。
一般的に、ショルダーバッグやボディーバッグ、サコッシュなどは、身につけた状態で走ると体の周囲で跳ね回り、お世辞にも走りやすくありません。
もし、体ひとつで走るのと変わらないくらいの一体感がBPPで得られれば、日常の中で不意に訪れる「今すぐダッシュしたい瞬間」に躊躇なく走り出せるので、遠く先を歩く友人に追いつき、無事に信号を渡りきり、発車しそうなバスにも間に合います。
また、体への密着度が高いことは、自転車での使い心地にもプラスに働くでしょう。
この高いフィット感を実現する手段が、自在に伸縮するショルダーストラップでした。
サムスライダー
伸び縮みするストラップの仕組みを考える際には、次の3つの課題を設定しました。
①少ないパーツ構成でスッキリとした見た目にする
②短くした際に余ったストラップがブラブラ遊ばない
③スムーズな動作で伸縮でき、かつ、自重でズルズル伸びてこない
これらの命題をクリアしたのが、今回BPPに採用した、親指一本で簡単に伸縮するギミック「サムスライダー」です。
使い手の様々な体格にアジャストするサムスライダーは、わずか3つのパーツで構成されていて、とてもシンプルです。ストラップの縮めた部分はスルスルと裏側に巻き取られるので、「余り」が発生しません。
ストラップの根本は、角カンやナスカンなどを介さず、バッグ本体に直接縫い付けられており、繰り返される伸縮の動作に耐えられるタフさを備えています。
左右のストラップが真横ではなく斜め上方に向かって生えているのは、バッグ本体の重心を下げるため。こうすることで、ゆるく身につけたときでもバッグがお辞儀せず、体へのフィット感を保つことができます。
また、ストラップの幅をやや太めの38mmにして、肩にかかる重さを分散することで、長時間の使用でも疲労感を感じにくくしました。
「バックパッカーズポーチ」は左肩専用
「バックパッカーズポーチ」は、背面にあるスマホ専用スペースのジップが「L字型」に開きます。これにより、開口部が大きく開くため、スマホの出し入れがしやすくなっています。
逆に言うと、L字の曲がり角が上に来ていないと、スマホが入れにくいです。なので、BPPは掛ける肩が決まっていて、(自分から見て)左肩に掛ける仕様となっています。
ストラップを伸縮させる際には、右手でポーチ本体を押さえつつ、左手の親指をサムスライダーに通して操作します。