Penbeは、特許権を取得しています。
今回は、会社に勤めつつ、どうやって特許権を取得できたかを紹介したいと思います。
特許証(特許第6612470号)
どんなものが特許権を取得できるのか
そもそも特許とは
特許とは、「発明」を保護する制度です。特許制度は、発明をした者に対して、国が特許権という独占権を与えることで発明を保護・奨励し、かつ、出願された発明の技術内容を公開して利用を図ることで、産業の発達に寄与することを目的としています。(下記リンクから引用)
特許になりうるもの
特許権を取得するには、下記の5つを満たす必要があります。
(1) 産業上利用することができる発明
(2) 新規性のある発明
(3) 進歩性のある発明
(4) 先願の発明
(5) 公序良俗を害するおそれのない発明
(2) 新規性と、(3) 進歩性は、言葉だけではわかりにくいので、少し説明したいと思います。
(2) 新規性は、まだ世の中に知られていないという意味です。特許化されていなくても、テレビで放映されていたり、論文になっていたりする発明は、新規性がないと判断されます。たとえ、自分の発案であっても、発表してしまっていると特許にはなりません。
(3) 進歩性は、他の人が簡単に思い付かないという意味です。リモコンのボタンの位置を少し変えたとか、世の中にあるものの単なる組みあわせなどは進歩性がないと判断されます。ただ、進歩性があるかどうかの判断は非常に難しく、特許を出願しても、この進歩性で特許庁から拒絶されることも多いです。
特許ネタを考えて見よう
アイデア出しをしよう!
特許権をとるにあたって、ここが一番大事ですが、説明しにくい部分でもあります。
世の中の不便さや、困りごと、違和感を見つけて、それを解決する方法を考えるのが、一般的だと思います。
たとえば、今、私は椅子に座りながらキーボードを打っていますが、肩がこってきています。肩こりを解決できるキーボードや、机と椅子の組みあわせなど考えていくと特許になる可能性があります。
Penbeに関して言うと、子供が勉強しないという困りごとをどうやって解決しようかと考えたのがきっかけで始まっています。世の中には、ポケモンGoで、運動をする人が増えたように、楽しいきっかけと組み合わせて勉強を習慣化できればいいのではないかと思い付きました。
発明を考えつく方法はいくつかあって、たとえば、「TRIZ」などが有名です。下記の本などはわかりやすいと思います。
先願がないかを検索してみよう
アイデアを思い付いたら、先願がないかを検索してみましょう。
日本の特許であれば、「J-platpat」というサイトがあって、ここで検索できます。
検索の欄に、自分の特許の特徴を表現できる「キーワード」を入力して、検索をしてみましょう。
同じものがあれば、先願があるとみなされ、特許化できません。
ここで難しいのは、適切な「キーワード」を抽出することです。あまりに広く検索すると、何百件も出てきて、調べきれないし、キーワードが適切でないと先願があっても、0件と返ってきます。
私がよくやるキーワード抽出方法を紹介したいと思います。
それは、特許化しようとしているアイデアにどこかの部分が近い特許を見つけて、そこからキーワードを拾うことです。
Penbeであれば、「たまごっち」の特許を見つけたり、「手書き入力」の特許を調べたりして、そこからキーワードを抽出しました。
あとは、インターネットを使って、Google検索でも調べてみましょう。日本語で検索しても海外の製品などがヒットすることはよくあります。Google先生はみなさんよく使うので、検索し慣れているのではないかとおもいます。
先願が見つからなかったり、Googleで引っかからないのであれば、権利化できる可能性が高くなってきます。
出願準備をしよう
まずは弁理士さんを見つける
特許の手続きをしてくださる人を弁理士さんといいます。
ただし、弁理士さんに対応してもらわなくても、特許自体は出せますし、弁理士さんにはいってもらうと費用もかかります。ただし、特許が権利化できる可能性がまったく違うので、弁理士さんは初めから入ってもらった方がいいです。Penbeが権利化できたのも、相性のいい弁理士さんに入ってもらったからだと、感謝しています。
ただ、相性のいい弁理士さんを個人で探すのは難しいです。アイデアを思い付く次ぐらいに難しいかもしれません。
ネットで検索したり、下記リンクの弁理士会無料相談を受けたり、スタートアップ向けの支援を受けることなどで見つけていくことになります。私自身は弁理士会の無料相談とネットの検索で何人かの弁理士事務所にコンタクトをとり、その中から依頼する弁理士さんを探しました。
皆さんも特許を出願しようとすると、何人かの弁理士さんと話すことになるかと思うのですが、私が考える弁理士さんを選ぶポイントを書きたいとおもいます。
(1) 考えついたアイデアと同じ分野の特許を権利化したことがある(その技術分野が得意分野である)。
(2) 話していてスムーズに話せる。会話が弾む。(妥協点を見つけるときなど話しづらいと難しいです)。
(3) 時間に正確に対応してくれる。
(4) 平日に行くことができる範囲内に事務所がある。
(5) 費用が適切である。
私は特許の中身をある程度書く、図面をこちらで書くことを条件に費用を抑えることができる弁理士さんにお願いしました。
職務発明ではないことを確認する
会社に所属している方は、これから書こうとしてる特許が職務発明にあたらないようにしなければいけません。
会社で行っている業務に関係するような発明は職務発明にあたるため、個人では出すことはできません。業務に関係する不便さなどから思い付いたアイデアは避けた方がいいかもしれません。
もし、特許を書く仕事をしているのであれば、会社の知財部/特許部の方に聞いてみるのが確実です。
特許を作成して、提出しよう
アイデアも固まり、先願も確認し、弁理士さんも見つかったら、あとはそのアイデアを特許のフォーマットにして提出するだけです。弁理士さんと相談しながら進めていけばOKです。新規性、進歩性があり、特許にふさわしいと特許庁が判断すれば、権利化できます。
Penbeを購入いただける方へ
Penbeでは、上記出願で終わりではなく、補助金の申請、海外特許出願、拒絶通知への対応、意匠権と商標の登録なども行っています。このあたりは、Penbeをご購入いただき、詳細なデジタルの活動冊子を希望する方へ情報提供をさせていただきたいと考えています。来年からのクラウドファンディング開始を考えていますので、少々お待ちいただくことになり、申し訳ないですが、引きつづきよろしくお願いします。