こんにちは!ULYSSES広報の長澤です。
前回は、「iPad使いのためのバッグ・DRIFT(ドリフト)」開発のきっかけと、「これ1つで1日過ごせる」というコンセプトが生まれるまでの経緯をお話ししました。
今回からは、より具体的な特長について、ひとつひとつ語っていきたいと思います。
まずは、バッグの基本機能のひとつである「モノの出し入れ」について。
iPadバッグでは、「取り出したいものを、取り出したいと思ったタイミングで、ストレスなく取り出せるようにしたい」と思っていました。
そこで、スピード感と視認性を重視し、
1.ワンアクションで大きく開き
2.見やすく、取り出しやすく、戻しやすい
というテーマを実現できる仕組みを考えました。
アイデアを逃さない!指をひっかけてワンアクションでバッグが開く
このバッグの開発にあたり、iPadユーザーとして重視したのは「アイデアを思いついたときすぐにiPadを取り出せること」でした。だって、いいアイデアほど一瞬で脳裏から消えてしまいますから!(笑)
そのために、蓋の両側に細いループが付いていて、指をひっかけて手前と奥に引っ張ると、一瞬でバッグを全開にできるようにしました。わざわざジップを持つ必要がありません。
前後のループに指を引っ掛けるだけで… ↓
本当に軽い力でスルスルとジップが開きます!
蓋がガバッと大きく開き、バッグの中身をひと目で見渡せる
また、バッグ全体に使用している素材「X-PAC」にはハリがあり、中のインナーケースも丈夫なので、それに沿って動くジップのスライダーは滑りが良く、閉めるときも両手で一気に閉めることができます。「ジップを開ける時はいいけど、閉めるときには引っかかってまごつく」ということがありません。
※X-PACについては、また詳しくご説明いたします。
※バッグはサンプルです。実際の製品とは、色や素材、細かい仕様が異なります。
DRIFT(ドリフト)は蓋がガバッと大きく開き、iPadだけでなくすべてのものが、上から見たときにひと目で見渡せるようになっています。(ひと目で見渡せる理由はそれだけではないのですが、それは次回に詳しく!)
蓋が手前から奥に向かって(体から離れるように)開く設計なので、よくあるフラップ式のカバンのように開いた蓋が視界を妨げることがなく、また蓋を片方の手で抑えておく必要もないので、モノの出し入れに両手を使うことができます。
斜めに開き、小さなものから大きなものまで良く見える
段々畑のように傾斜のあるインナー※バッグはサンプルです。実際の製品とは、色や素材、細かい仕様が異なります。
斜めに開く天面ジップ
中に入れるものの大きさは様々なので、背の低いものがバッグの中に沈み込んで埋もれてしまわないように、インナーに傾斜をつけました。またそれに合わせて、蓋はバッグの天面から斜め下に向かって開きます。
小さいものほど外側(体から遠いところ)に配置する仕組みで、手前のものから奥のものまで等しく良く見えます。
斜めスライド天面ジップができるまで
このように、開く角度・方向・滑らかさのすべてに、徹底的にこだわった「斜めスライド天面ジップ」ですが…。作るのは簡単ではなく、この仕様に辿り着くまでには多くの回り道がありました。
ここで、開発を始めた当初から現在までの、蓋の形の変遷をお話しします。
始めはフラップ式でした
過去の試作品の一部
最初、外観はできるだけ薄く見えるようにフラップ式を考えていました。しかし、実際に作ってみるとそれほど薄さに貢献しないばかりか、片手でフラップを開いたまま押さえておかないと中身が見えないので、片手が塞がってしまい、使い勝手が良くないことが発覚。
また、このバッグの開発を始めた約5年前、ULYSSESは天然素材を使用した製品を中心にラインナップしており、化繊を使ったことがありませんでした。「チクリッシモ」という帆布のメッセンジャーバッグを作って大変好評だったこともあり、今回も同じように素朴なテイストで、フラップにレザーを使用したトラディショナルなバッグにするつもりだったのです。
ヒネリ金具で留めるアンティークなデザイン
ヒネリ金具を使った試作品
レザーのフラップを留める仕組みとして、中身が多少増えても確実に蓋が閉まるよう、「ヒネリ金具」を試しました。しかし、ヒネリ金具のデザインは良く言えば味わいがありますが悪く言えば古めかしく、かなり人を選びます。
また、真ん中1点だけで留めるデザインだと、斜め掛けにしたときにヒネリ金具を中心にしてバッグの形状が歪んでしまうという欠点もありました。
金具の数を増やし、フラップの両端2点で留めれば歪まなくなるのですが、アンティーク感は増すばかり…。
それならばとマグネットで留めるアイデアも試してみたのですが、使用者のモノの詰め込み具合によって、マグネットの吸引力ではフタが閉まらなくなることがあり、これも現実的ではありませんでした。
本当に欲しいバッグを作るため、斜めにスライドする天面ジップに挑戦!
何度も試作を繰り返しましたが、実用性があり、かつ見た目も直感的に欲しいと思えるバッグになかなか辿りつけず、開発が止まってしまった時期もありました。
実は最初から、本当は「蓋が斜めに開く天面ジップ」にすれば理想的な機能性と見た目を兼ね備えたものに仕上がることには、気づいていたんです。
ただ、当時の私たちの技術力ではその構造はかなり難易度が高く、そこにこだわって時間がかかるくらいなら、別の方法でスピード感を持って形にする方を優先したいという誘惑に駆られました。
そこでフラップ式を検討したわけですが、実際に作ってみるとそう簡単にはいかなかったのは前述のとおりです。
遠回りはしましたが、この‟大迷走期”を経て「本当に欲しいバッグを作ろう!」と腹をくくり、これまでトライすらしてこなかった「斜めスライド天面ジップ」に挑むことに。
このバッグは、ULYSSESにとって新しい挑戦の連続で様々な苦労もありましたが、ようやく実現させることができました。
次回は、iPadサイズに効率よくモノを収納できる仕組みについてお話しします。
引き続き、プロジェクトの応援よろしくお願いいたします!