ポンピン堂の工房を見学してきたので報告します。
うっとりするぐらい美しい型紙
型紙は、彫師(ほりし)という専門の職人が柿渋で張り合わせた美濃和紙を彫刻刀で彫るそうです。
型紙の9割以上が伊勢地方で作られている伊勢型紙で、紀伊徳川藩の政策で特産品として広まったという歴史があります。
型紙の強度を保つために、紗(しゃ)というシルクの素材を貼っています。
紗を貼るのも専門の紗張職人がいて、天然の漆を使って紗を張っています。
漆は湿度で硬化するので、その日の空気の湿度を見て漆を調合する、まさに職人技です。
気が遠くなるような江戸型染めの工程
江戸型染めの工程はまず、もみの木でできた8mの一枚板(長板)の上に反物の生地を張り(地張という工程)、生地の上に型紙を置いて、へらで型糊(米粉、塩、石灰、米ぬかが原料)を置いていきます。
糊が乾かないうちに型紙を移動して一反の長さを続けて作業していきます。
その後、大豆を煮詰めた豆乳状のもの(呉)を入れる呉入れという作業を行います。
呉入れは下地を入れていく工程。大豆のタンパク質が、色にじむを防ぎ、色が入る受け皿になるそうです。
その上から、鹿の毛の刷毛で色を刷り込んでいき、蒸し器で蒸し込んでいく。
そして最後に水で洗うという気の遠くなるような工程を踏んで1枚の反物が出来上がります。
あまりにも手間がかかるため、1枚の反物を制作するのに1ヶ月もの月日がかかるそうです。
日本の伝統色は日本人の美の心
これが当時から使われている色見本帳です。
四季の植物や食べ物の名前など、何百という日本の色があります。
色の表現の豊かさの分だけ、昔の日本人は生活の中に四季を感じ、それを色で表現していたのですね。