2015-02-10 21:35:09 活動報告一覧に戻る
本文中にも何度か登場している「デザイン思考」という言葉ですが、デザイン思考とは一体何なのでしょうか。デザイン思考の説明に入る前に、デザインという言葉について話をしたいと思います。
世の中にはデザインという言葉が組み合わさった言葉がたくさんあります。ファッションデザイン、グラフィックデザイン、製品デザイン、空間デザイン、アーバンデザイン、グランドデザイン…。そもそもデザイン(design)はラテン語で「指示する、表示する」という意味の”designare(デジナーレ)”という言葉が語源です。この「指示する、表示する」ということは、何かしらの計画や想定しているものがなければ、成り立たない意味になります。そのため、デザインには「計画する、策定する」といった意味があります。これがアーバンデザイン、グランドデザインといった言葉で使われているデザインです。
一方で、計画したもの、策定したものを実現するために、指示する、表示することからデザインには「形をつくる」といった意味も持つことになります。これがファッションデザイン、グラフィックデザイン、製品デザイン、空間デザインといった言葉で使われている意味です。
このように大きくわけてデザインにはこの2つの意味があるのですが、何かしらの問題を見つけ、そのために計画を立て、その計画を形づくっていくというプロセスを「問題解決方法」としたとき、デザインがもつ2つの意味(計画する・策定する、形をつくる)がまさしく「問題解決方法」であり、そのため最近では「デザイン=問題解決を行うこと」というような意味を持つようになりました。
このようにデザインの意味が広がる中、デザイン思考におけるデザインとは、かっこいい形を創ることではなく、問題解決のことを意味しています。そしてその問題解決のアプローチはデザイナーが無意識に行っている思考プロセスを一般化したものとなります。デザイン思考を提唱したアメリカのデザイン・コンサルティングファームのIDEOのティム・ブラウンはデザイン思考の思考プロセスを下記のように述べています。
“デザイナーたちは直感的に、世界に興味を持つ、そのあり方に疑問を投げかけるということをしています。世界はどうしてこうなっているのか。他にもっといいやり方はないのか。そういう興味と疑問が、彼らをアイデアに向かわせます。その後、そのアイデアを、描いてみたり、立体にしてみたり、コンピュータを使ったりして、実際にいろいろ試して、最終的によいと思えるソリューションを導き出す。「疑問を持つ」「アイデアを探す」「試す」「最終形を出す」というこのプロセスは、ある1つのソリューションに「収束し、また拡散する」というサイクルを繰り返します。
デザイン思考は、デザイナーのこういう直感的なデザイン行為に説明を与えたもので、どちらかというとノンデザイナーのためにあると思っています。いわゆるデザインプロジェクトに関わったことがない人でも、デザイン的アプローチを経験して、問題解決に生かせるようにするためです。” (2014年11月18日 慶應義塾大学における公開対談にて)
ティム・ブラウンも述べているように、デザイナーは無意識のうちにモノやコトを観察し、観察したことから問題を発見し、そしてその問題を解決するためのアイデアを発想、そして試していくことを通じて問題を解決していきます。
■Curio Schoolのデザイン思考
Curio Schoolでは、
・モノやコトを観察すること(理解と共感)
・観察を通じて問題を見つけること(問題定義)
・問題を解決するアイデアを考えること(発想)
・アイデアをどんどん形にしていくこと(試作)
・形にした試作品を試していき、その結果を振り返ること(テスト)
これらのプロセスを通じたプロジェクトを小学生向けに行います。
過去に行ったプロジェクトで例を挙げて説明します。
小学校5年生向けに「小学校の給食の時間をデザインする」というテーマで、実際の給食の時間を通じて行いました。そこで、最初に「気づきカード」という、自分も含めて人が困っていることをメモするカードを配布しました。そして給食時間中にはこんな「気づきカード」が出てきました。
・配膳をするお盆が大きくて運びづらそう
・(中華丼に対して)うずらの卵がお箸ではとりづらい
・配膳中に動きまわる人が多くて、ほこりが舞う 等
(気づきメモ)
実際に何が起きているか、そしてそこから「大変そうだなぁ」とか「なんとかならないのかなぁ」と共感すること。これが理解と共感のプロセスです。次に、気づきカードの中から「一番困っていること」を選んでもらいました。この「一番」というのは、特に決まりがあるわけではなく、その子どもにとって「一番」と思った困ったことで構いません。これが問題定義のプロセスです。
そして、その一番困っていることをどうやれば解決するか、ということを自由に発想することが発想のプロセスです。この時のワークショップでは、できないと思っても気にせずアイデアを出すことをルールとして設定し、日常生活で勝手に思い込んでいる枠を一度取り外した上で発想を行いました。すると、
・うずらの卵がお箸ではとりづらい → うずらの卵を四角にする
というアイデアを考えていました。正直、このアイデアは先生を含めて大人では思いつかないアイデアであり、固定概念の枠を飛び出したアイデアだと思います。 最後に、発想したアイデアを画用紙や紙皿などを使って表現(試作)し、人に伝えるということを行いました(本来であればここで考えたアイデアを実際にやってみることが大事なのですが、時間の関係上それはできませんでした。)。
決してかっこいいものを創るだとか、製品を設計するということがデザイン思考ではありません。このデザイン思考を通じて、問題を解決する力だけでなく、問題を発見する力を身につけることが重要であり、この力はこれからの社会を生き抜くために間違いなく必要な力となります。
Curio Schoolではデザイン思考をベースとしたカリキュラムを多数用意しております。
ぜひこれからもご支援宜しくお願い致します!
目標は ¥300,000 に設定されています。
プロジェクトは 2015/02/21 に達成し、2015/02/25に募集を終了しました。
なりきりプロジェクトの年間フリーパスチケット
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クリエイティブな空間造りをご一緒に!空間製作ワークショップ&創業パーティー・座談会へのご招待
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