湿らせた型紙が糊付けの台に運ばれ、いよいよ染めの工程開始!
今回サンプルとして染める「丸久げんやだな」の型紙が出来たので、次はいよいよ染めの工程です。
注染で染めることのできる染工所は、関東で探してもわずか数件を残すのみ。
今回のサンプルは、都内にありながら300坪超の敷地で注染を行なっている旭染工さんが染めてくださいました。
社長の阿部清吉さん自ら、注染の工程について熱く詳しく解説いただくこと、約2時間。(お忙しいなか本当にありがとうございます!)
旭染工株式会社 代表取締役 阿部晴吉さん
白生地が染め上がるまでに幾つもの工程がありますが、そのひとつひとつの作業に専門の職人が要るという、じつに人手がかかる注染の世界。
染料を注ぐ「やかん」など、それぞれの工程に見合った道具が並ぶ
しかしどの工程も、どの職人さんも、なんと美しく恰好のいいこと!!
無駄のない道具、動き。職人の現場にほれぼれ
「丸久げんやだな」は、クレア染めといって、あらかじめ布全体を先染めするデザインにしているので、染工所に届いた時点で反物の地色が染まっています。
この反物をお湯に数時間浸し、生地のゆがみをとって染めやすくするところから作業がスタート。
浸して、脱水して、干して、布目をまっすぐに整えながらきれいに巻かれた反物が、型付けする職人さんのところにやってきました。
洗って巻かれた、染める直前の白生地たち
型付け
型付けというのは、生地に防染用の糊を塗る作業です。
糊が塗られた部分は染料が染みないので地の色がのこり、抜けた部分が染められます。
ただし、糊の量を間違えたり、均等でないと、うまく染められずムラにもなる。非常に熟練を要します。
少しの違いが作業の質に影響するので、型台や糊はそれぞれの職人が専用で使い、自分に使いやすいよう、さまざまに工夫されています。
台の高さも職人さんに合わせてある
型付けは、まず型紙を木枠に取り付けるところから始めます。
型紙を鉄鋲で木枠に取り付ける
特注の鉄鋲を使って付けていく様子は、手慣れたもの。あっという間に完了しました。
次に保護用の布を敷き、そこに型紙をはった木枠を倒して糊付けスタート。
3枚ほど作業したら、本番の布にとりかかります。
本番の布を敷きはじめるところ
型台の上にのばした生地に木枠を倒し、その上から糊をつけます。
一定の強さでスーッと一気にヘラを移動させる
この糊、海藻と粘土を混ぜたもので、生地や染料の種類や柄の細かさに応じて硬さを変えるため、ひと柄ごとに調合が必要。
使用する糊。硬さを調整しながら攪拌しながら使います
灰色の糊が生地に塗られていきます
木製のヘラで糊をすくっては台の上を往復させ、均一に伸ばしていきます。
浴衣の場合は、一度の型付けで1疋分(2反分)を行ないます。
白い部分が生地が見えているところが染料で染まる
長い反物を寸分違わず屏風状に折り返しながら重ねる作業は、まさに神業!
2反分に糊を塗り終わるまでの間に何度も何度も折り返す
折り返しの部分の丁寧さが染め上がりに現れる
折返し部分の余分な糊を取り除いて
折り返しの部分の美しさ、神がかってます!!
美しい断面
こうして2反分の型付けが終わりました(続く)