染色
おが屑のついた反物
1疋分(2反分)の糊付け=型付けが終わると、生地は畳まれたまま、おが屑を敷き詰めた床に落とされます。
糊の付いた両面をおが屑で保護して、いよいよ染台へ。
注染の現場は分業制。染めは染めの職人が行ないます。
職人は、まず色指定に従って、染料を調合するところからスタート。
硫化染料、反応染料、ナフトール染料、スレン染料などを、染めたい色合いに応じて選び、助剤を使って色をつくります。
染料置き場
染料は温度によって色合いが変わるものもあり、温度管理も必要。
染料の知識、色をつくる勘どころ、温度の具合など、経験を積まなければ身に付かないことばかり。まさに専門職。
社長が指示出ししている配色用の染料レシピ
畳まれた状態で染台に置かれた生地には、防染のための糊付けがされています。
ただし、2色以上の色を使った「差し分け染め」をする場合は、染める際に色が混ざらないようにしなければなりません。
ここで登場するのが、糊でつくる「土手」です。
土手づくり
差し分けるための土手をつくったら、いよいよ注染です。やかんに入った染料を大胆に丁寧に注いでいきます。
染料の注ぎはじめ
顔料のいわゆる「プリント」の技法は、生地の上に染料を「乗せる」のでプリント部分はかたい場合も多く、裏をみるとうっすらその色や形が透けている程度です。
しかし、今回こだわった「注染」は、“染め抜く”技法。
生地の繊維そのものに染料を染みこませるので、裏表がわからないくらいの染め上がり。
生地のしなやかさも損なわれることはありません。
手元
「染め抜く」の「抜く」の部分は、染台が担当します。
職人は染料を注ぎながら足元のペダルを踏んで、真空になっている染台の内部を減圧。
これにより、注いだ染料がジュッと下まで染み通り、文字通り「染め抜く」ことができるのです。
表面を染めたら、束ごと裏返して裏面も同様に染めます。
これで染めが完了しました。
染め上がった状態(続く)