過疎化する宿場町にみんなが集まるおいしいコーヒー屋をつくりたい!

過疎化する宿場町にみんなが集まるおいしいコーヒー屋をつくりたい!

【往復書簡】SOL'S COFFEE中島より DEKITA時岡さんへ 5通目    〜東京蔵前と福井熊川を繋ぐソルズの想い〜

DEKITA 時岡さんへ  また、ご支援いただいている皆さまへ

ぼくは今東京に戻ってきています。
最後の開店準備と東京から開店のためのものを持っていくためです。 一昨日まで熊川宿に一週間ほど滞在していましたが、短い期間にも関わらず、 過ごした熊川宿から離れるのは感慨深い気持ちでした。
ーーー 熊川で工事をしていると、毎日誰かが声をかけてくれましたね。 大丈夫かい。 子どもも一緒に連れてきているんだね。 がんばってね。 温かく声をかけていただくたびに、ぼくらのお店のある東京は浅草橋と蔵前の街のことを思い出しました。 浅草橋、蔵前は東京なんですが、下町で、人と人との距離がなんていうかすごく近いんです。
ーーー 昨晩も浅草橋のお店で夜まで準備をしていたら、近所にすんでいるタコ社長が声をかけてくれました。 「おまえら、何時までやってるんだよ。めし食いにいくぞ」 ソルズの店舗の一つ、浅草橋のロースタリー店の近くには、 少し歩いた場所に菊正というお店があって、 そこには大正のころからそこにあるような時代物の木製レジ(?)が置いてあって。 地元の人たちがみんな集まってて福井から戻ってきたぼくたちを歓迎してくれました。
ぼくはタコ社長に福井は熊川宿のことを話しました。 美しい町並みのこと。 風通しのいい街道のこと。 誇り高い職人さんたちのこと。 美味しいへしこのこと。 そして新しい焙煎機と、少しずつうまくいってきた焙煎のことを話しました。 「みんな聞いてるよ。おまえのところのスタッフたちが毎日おれに話してくるんだよ。 福井はこんなところですよ。 これどう思います? このコーヒー豆は福井で焼いたんですよ。 味はどうですか?って。」 「それで…」 そうぼくは言いかけました。 コーヒーの味はどうなんですか。 ー
そんな野暮な話はやめにしました。 コーヒーの味が不味かったら、ぼくは真っ先に怒られるはずだし、こうしてここにいるわけがないのです。 浅草橋や蔵前は下町の職人さんたちがしのぎを削りあう、とても厳しい街です。 今までSOL'S COFFEEがやってこれたのはそんな厳しいお客様がずっと支えてきてくれたからです。 そして味以上に大事なものがあります。 タコ社長が焼酎のお湯割りを注いでくれました。
ぼくたちは熊川宿に店を出しに行きますが、なんら変わりません。 ずっとコーヒーを焼いて、 コーヒーを挽いて、 コーヒーを淹れるでしょう。 音楽をかけて、 パンを焼いて、 お客様と話すのが SOL'S COFFEEのやり方です。 「社長、熊川宿のクラウドファンディングなんですが、あと200万円ほどたりません。よろしくお願いします。」 ーーー
ーーー

時岡さん。熊川宿のみなさん。

SOL'S COFFEEはこれから熊川宿に帰ります。 まだタイルは貼り終わっていないし、店の準備もこれからです。 もちろんぼくたちがやらなきゃいけないんですが、そういった具体的なお店作りだけが、お店をつくるのではありません。 お店をつくるとき、自分たちだけでお店を作るのではないんです。  コーヒーの味作りでもそうです。 集まったみんなでこうでもないとか、ああでもないとか言ってみんなで話しあっていきます。 そうやって今までやって来ました。
これからぼくたちは東京は蔵前と、 福井は熊川宿とを結ぶ新しい在り方も提案していきたいと思っているんです。 東京だけではない、 地方だけではない、 水がこんこんと湧き出る水源地と下町を結んで、 誰もが帰ってこれる場所を。 ぼくにとってはすでに蔵前も熊川宿もどちらも帰ってきてほっとできる場所なんです。 みんなにとってもそんな場所になってほしい。

過疎化する宿場町にみんなが集まる美味しいコーヒー屋を作りたい。

よろしくお願いします。 令和元年10月1日 SOL'S COFFEE マネージャー 中島祥
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