みなさん、こんにちは。店主のさかいです。毎日あついですね。
暑いですが、ウチの近所では朝からヒグラシが鳴いています。
一般的に晩夏の夕暮れに鳴く虫が、初夏の朝に鳴く土地柄。控えめに言って相変わらず最高です。
ところで、せっかくの活動報告なのに「どういうお店にしようと思っているのか」という肝心の開店後のことがあまりお伝えできてないなと気が付きました。
でも自分で「わたしはこんな想いでこういう店にしたい!!」みたいのを切々と語るのも、ただでさえ毎日猛暑で暑いのに、さらに暑苦しくなりそうではばかられたので「URAKURAにいそうな人たち」との語らいから皆さんに想像していただく形式にしてみようと思います。
題して【URAKURAさん、いらっしゃーい】
記念すべき1回目は、今年5月に韮崎の駅前にオープンした登山用品店兼ガイドオフィス「NEXT MOUNTAIN」店長の関根純里さんにお話を伺います。
関根さん、こんにちは。まずは自己紹介からお願いします。
関根さん:どうも、こんにちは。ぼくは社会人になってから登山に出会ってその魅力にのめり込んだのですが、そのまま「好きなことを仕事にしたい」と思ってアウトドアメーカーに転職して、そこで12年務めていました。今年の5月に「NEXT MOUNTAIN」をオープンして今は登山ガイドと店長の二足のわらじで活動しています。
さかい:関根さんとは「奥さまの友だちの友だちの友だち」という近いのか遠いのかわからないご縁があり、同じ移住組・同じ2025年オープン組、且つクラファンの先輩ということもあり、日々いろいろとご相談に乗っていただいていますが、今日も、お時間いただいてありがとうございます。それではまず乾杯から。
両者:お疲れさまでした!
さかい:本日は二人ともこのあと運転があるので、宇宙ブルーイングさんのノンアルコールドリンクをいただいてます。関根さんは「宇宙HAZY」、わたしは「HOP WATER」です。お味はいかがですか?
関根さん:口に近づけた瞬間から「宇宙」って感じがしますね。最近のノンアルはすごい!
さかい:普段はどんなお酒を飲みますか?
関根さん:こういう個性的なビールも飲みますよ。デイリーで飲むものだとエビスが好きです。ぼくの実家は本当にみんなよく飲むんです。夕食の時は必ずビールがあって、最初におつまみが出てきて、締めで白米を食べてたので、若いころはみんなそういうもんだと思っていました。
だからか、飲み会とかでワイワイと飲むお酒が好きですね。そういう場では焼酎をよく飲みます。クセのあるお酒が好きで、ウイスキーでもピート香が強い、タリスカーとかラフロイグとか。そういうのをロックで飲むのが好きです。
山登りが好きな方ってお酒が好きなイメージがあります。最近はお酒を入れるアウトドア用のプラスチックバッグもありますよね。
関根さん:そうですね、山とお酒は切っても切れない関係だと思います。でも、山でお酒を飲むことにはやっぱり賛否両論あるんですよ。危険と隣り合わせですからね。
さかい:切り離せないけど、あまり近くに接着できない関係ですね。一番は「下りてから飲む」ですね。
関根さん:そう思います、登山のために禁酒して、下山してから飲むお酒は最高にうまいと思います。
酒井:山登りをする方って、お風呂が好きな方も多いですよね。
関根さん:そうそう、お風呂に入った後のお酒って最高じゃないですか。そして山を下りた後の温泉も最高なんです。だからその3つの流れは最高なんですよ。
山登りをされる方ってタフですよね。私なら早く帰って布団入りたいって思いそうです…。
関根さん:意外とそうはならないんですが、その夜の布団は最高です。
山のいいところってそういうところで、一気に生活においての幸せの基準が下がるんです。よく言うのが今のぼくらって【どの時代の王様よりもいい暮らしをしている】って言葉があるんですが、たとえば今だってクーラーの効いた部屋で音楽を聴きながら冷えたノンアルコールビールを飲んでいる。これって100年前じゃ考えられない贅沢なのに、ほとんどの人はこれに慣れて満足できなくなっている。もっといい服着たい、いいもの食べたい、ってどんどんハードルが上がっていくけれど、それって絶対偽りだから。山はそういう目を覚まさせてくれるんです。これ、絶対書いといてください笑
さかい:そういう気持ちって、山を登っている途中に体を酷使することで感じるんですか?それとも山で出会う非日常の景色とかで感じるんですか?
関根さん:いろんなことのありがたみがわかるってことだと思います。疲れた体で飲んだ水がすごくおいしく感じて「水だけでこんなにおいしい!」ってなったり「ベッドで毎日寝られてたなんて、おれはなんて幸せだったんだ!」と思ったり。
さかい:わたし、山に登る人って、頂上に目的があるんだと思ってました。山の下にも得るものがあるんですね。
関根さん:まさにそれが「NEXT MOUNTAIN」という店名の由来にもなっていて、次の山を登るために今上ってる山を安全に下りる、次の山に行くために普段の生活から気を付ける。次の山を想う楽しみで生活に張りが出て日常が豊かになる。登山を趣味にするってそういうよさがあるんですよ。山が好きだと不健康な生活を送ろうって絶対思わないですね。だって次の山に行けなくなるから。
NEXT MOUNTAINさんのロゴ
お店のロゴもそれを反映してて、上の三角の部分は山を、全体の形で「次の山へ(=NEXT MOUNTAIN)」を表す右向きの矢印を表現しているんですよ。
実はこの店名はぼくの中でずっと温めていたので、お店を開けるまでに他の人に使われないかどきどきしてたんです。
さかい:いつぐらいから温めていたんですか?
関根さん:「NEXT MOUNTAIN」という言葉自体は、山野井泰史さんという登山家が「ピオレドール生涯功労賞」という登山界のアカデミー賞みたいな賞を受賞したときに言った言葉なんです。
その方は、いろんなすごい山を登ってるんですが、生きているのが不思議と言われるぐらいその分、何回も失敗してるんです。つまり何回も途中で下りてきている。インタビューで「山を下りる決断をするのはどういう時ですか?」と聞かれたときに一言、間髪入れずに答えたのが「NEXT MOUNTAIN」だったんです。
ぼくはそれにしびれて、めちゃくちゃすごい山に登っている人が、次の山に登れなくなるぐらいだったらこの山をあきらめるって言っているのがめちゃめちゃかっこよくて、これを絶対お店の名前にするんだ!!と思いました。
でもまさか本当にお店をやることになるとはその当時は思ってなかったですね。
さかい:そこから決断されたのはどうしてですか?
関根さん:ずっとやるかやらないか決めかねてたんですが、でもそれじゃあ何も前に進まないですし、やらないと後悔するなって気持ちが勝ったって感じですね。前職もすごくいい職場でずっと働きたいぐらいだったんですが、どうしても全国転勤がある職場だったこともあります。
お店を出す場所に韮崎を選んだ理由は、さかいさんもそうだと思うんですが、このいい感じの商店街があったからというのは大きいですね。
さかい:そうですね、私の場合特に山奥にポツンと酒屋を開けてもだれも来ないだろうなと思って笑 それに、エリアを元気にするようなお店の方がやる意義がある気がしたんです。今、芽が出始めてる韮崎のこの商店街という「面」の力をもっと大きく元気にしていけたらいいなと思っています。
そして無事に今年の5月にオープンしたお店ですが、直前はすごく大変そうだったのを覚えています。
関根さん:手続きの関係で4月に入ってからじゃないと工事に着工できなかったんですが、そこから大急ぎで準備して、内装も自分でやって、その裏ではクラウドファンディングもやって、本当に大変な1か月でした。笑
さかい:大変そうでしたよね。結果クラウドファンディングはやってよかったと思いますか?
関根さん:よかったですね。あれで知ってくれた方もいますし、支援金が集まったことも心の支えになったし、昔からの知り合いの人が支援してくれて人とのつながりの大切さを再認識できました。大切にしなきゃいかんなと。応援のメッセージもたくさんいただいて、心の支えになるとはこのことだなと思っています。つらいときはそれを思い出してがんばれているところもあります。
さかい:わたしも、クラファンの集まりが悪いもんでしょっちゅうクヨクヨして、そのクヨクヨを活動報告やSNSで出してるんですけど、
関根さん:出してますね笑
さかい:そのたびに友達がアドバイスをくれたり、メッセージくれたり、本当にありがたいなと思っています。
関根さん:ただの「お金ください」ではなく、人間関係の大切さを再認識する場でもありますね。
さかい:始める前は「知らない人からお金あつめる活動なのかな」とぼんやり思っていたのですが、そんなドライなものじゃなかったですね。もっとハートウォーミングな活動でした。
名残惜しいですが、最後に今後の目標などありますか?
関根さん:今後も何も、まだお店2か月しかやってないですからね笑 今やっていることを続けて軌道にのせる、でしょうか。登山ガイドの仕事と、お店とのバランスの最適解を見つけて頑張っていくって感じです。1~2年計画でじっくり取り組んでいきたいです。
さかい:山はなくならないですからね。
関根さん:山はなくならないですが、ぼくは「山は逃げない」って言葉が大嫌いなんです笑 ぜったい逃げます!行きたいときにがんばって時間を作って行かないと行けなくなるってことが多々あるから。
さかい:じゃあ、今日のお話の教訓は「山は逃げる」と「NEXT MOUNTAIN(=次の山へ)」にしましょう。
関根さん:URAKURAがオープンしたら、山を下りた後の一杯を楽しめる場所として一緒に何かやりたいですね。
さかい:今のところまだ「風呂」がないですが、「山」と「酒」のルートはできましたしね。だれかサウナ好きな人とか引っ越してきて、お風呂屋さんとかやってくれたらいいですね。
関根さん:サウナバーとかできたらいいな
それでは本日はありがとうございました!
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